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最も参考になったカスタマーレビュー
7 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
情報化社会を生態学的アプローチに依拠しつつ根底から問う,
By キケロニアン (東京) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 経験のための戦い―情報の生態学から社会哲学へ (単行本)
リードは現代社会の著しい特色を、間接経験が直接経験を凌駕するという事態、いやそれどころか時には取って代わるという事態に見ている(本書におけるテレビ批判、モンタージュ論などを参照)。本格的なインターネット時代の到来以前にリードはこの世を去ったが、インターネットが情報の巨大な源泉として確立されたいま、経験の劣悪化についてリードが抱いた危惧は――楽観論者も少なくないとはいえ――多くの人々にふたたび共有されつつある。リードは、仕事ないし労働、教育、遊びなどの人間の営みに即して経験の劣悪化を確かめ、この事態が人間の生そのものの危機を招いたことに警鐘を鳴らすだけにはとどまらない。さらに彼は、危機を克服するための方途を探るために前進する。 リードは本書を執筆することで、ギブソンの生態学的心理学に学んだ人間の「基礎的存在論」をデューイのプラグマティズムと結びつけつつ、オリジナルな社会哲学ないし倫理思想を素描することになった。 まだ多くの問題が問い残されているし、本書で提示された基礎的概念についても不十分な側面が認められる(一つだけ例をあげるなら、〈直接経験〉と〈間接経験〉を対比させるための理論的基礎はどこまで堅固か、という問題がある)。 にもかかわらず、哲学者としてのリードが、とりわけ英米圏で主流をなす分析哲学とは別の方法論(生態学的心理学)で自らを鍛え上げ、生態学的アプローチから現代哲学における重要な諸問題に真摯に迫ろうとしているその姿勢には敬意をおぼえざるを得ない。
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