とはいえ、理論と現実の狭間で意見を180度転換させる経済学者に対しては風当たりも強い。大恐慌の際、「財政金融政策を講じなければ経済は『デフレ・スパイラル』に陥って崩壊する」と説いたのは米国の経済学者アービング・フィッシャーであった。一方、世に言う「フィッシャー効果」とは「インフレ対策が無効になる可能性を示唆したもの」である。著者はこれを「矛盾」とは解さず、常に新たな難問に対峙する経済学者の宿命であり、真摯な姿勢であると位置づける。
フィッシャー理論の対極には、オーストリアの経済学者シュンペーターが説いた「創造的破壊」、すなわち不況の破壊力で企業、雇用、資産の非効率なものを一掃してしまえという「清算主義」がある。著者は、小泉純一郎内閣による構造改革の思想をそれに重ね合わせることで、マクロ経済の視点から改革の落とし穴を検証し日本経済の行く末に警鐘を鳴らす。
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