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経済復興: 大震災から立ち上がる
 
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経済復興: 大震災から立ち上がる [単行本]

岩田 規久男
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

二〇一一年三月一一日午後二時四六分、東北・三陸沖を震源とする国内観測史上最大のマグニチュード9.0の巨大地震が東北・関東を襲った。この東日本大震災は地震だけでなく、大津波と原発事故を伴い、人的・物的被害の大きさは戦後最悪のものとなった。だが、このような未曾有の危機にも、必死に立ち向かう人たちがいるのを知るにつけ、わたしたちはお互いに勇気付けられている。こうした状況を踏まえて、今後、数年にわたって取り組むべき「東日本大震災からの復興政策」をここに提言する。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

岩田 規久男
1942生まれ。東京大学経済学部卒業、同大学院修了。現在、学習院大学経済学部教授。深く確かな理論に裏づけられた、幅ひろく鋭い現状分析と政策提言はつねに各界の注目を集めている。著書に『昭和恐慌の研究』(編著、東洋経済新報社、第47回日経・経済図書文化賞受賞)ほか多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 172ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (2011/5/12)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4480864121
  • ISBN-13: 978-4480864123
  • 発売日: 2011/5/12
  • 商品の寸法: 18.6 x 13 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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18 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 徳保隆夫 トップ500レビュアー VINE™ メンバー
関東大震災、戦後復興、阪神・淡路大震災の経験を参考に、東日本大震災からの復興策を提言しています。著者は金融論と都市経済学の専門家なので、本書が扱う内容は、復興予算の規模とその財源、後の経済興隆につながる復興のあり方、といった大きな枠組みの話が主となっています。

著者は日本経済には大きなデフレギャップがあるとの前提に立ち、インフレ目標を設定した復興国債の日銀引き受けを提唱します。インフレ目標の水準は、当初4〜5%、その後は2〜3%とし、名目GDPの4%成長を持続すれば、数年のスパンでは国債の利払い費の伸びが上回っても、10年間で見れば自然増収が勝つので、増税ありきで考える必要はないという。国債の日銀引き受けはデフレを脱却する手段ですから、物価上昇率が目標上限に達したら終了し、市中消化へ移行します。

この議論は前提のレベルで「電力制約によって日本経済の生産余力が失われている可能性」を否定していますが、これまでのところデフレと円高が継続しており、震災前からの需要不足の状況に大きな変化はない(むしろ需要のいっそうの縮小が問題)とする著者の認識に、私は説得力を感じます。

ただ、著名な経済学者や国際機関による増税提案にも根拠はいろいろあります。結局のところ提案の違いは、日本経済の現状と先行きの認識の差に起因します。本書は著者の主張を支える理論と状況認識については詳しいものの、学者間で状況認識の違いが生じる理由、そして著者が議論の前提とする状況認識の方が妥当だといえる根拠は何か、といった点については、記述が不十分なように思えます。

復興財源問題の他にも、戦後復興における石橋財政の再評価、脱原発とCO2削減を両立する経済学者らしい処方箋など、本書には興味深い知見があふれています。過去の豊富なデータを織り交ぜてやさしく説いており、著者と意見を異にする方を含め、幅広い方々に一読を勧めます。
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15 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
この本は出版された翌日に購入したのだが、今頃になってレビューを書く気になったのは、この9月22日に京大経済研究所主催によるシンポジウムに参加したからである。シンポジウムには岩田氏の他に、佐和隆光氏、藻谷浩介氏、「一般理論」の翻訳者である間宮陽介氏ら京大の教授陣が出席された。

あの大震災の直後に何冊かの本が緊急出版されたが、3・11からほぼ2カ月以内に発刊されたものとしては、本書と野口悠紀雄氏の書(提言内容は本書と全く異なる)の2冊が出色の出来栄えであった。本書の特徴は、(1)関東大震災後'(2)太平洋戦争後'(3)阪神・淡路大震災後の三つの災害後の経済対策が、短期間でこれだけ纏め上げるのは至難の業と思えるほど、本質的な政策リサーチが記述してあることである。

今回の復興財源については、岩田氏の持論である日銀による国債引受の主張がなされているが、反対意見が多いので敢えて擁護しておきたい。そもそもメディアは少数意見を大切にするというようなタテマエのCIとは関係なく、「国債の日銀引受」と「インフレ・ターゲット」は完全に禁句に近い状況にある。このような主張は最近ほとんど記事になるような事は無く、日経等はやむを得ない時だけいかに目立たなくするかを考えて記事を組んでいる。余程、日銀から毒まんじゅうを食らわなければ、ここまでバイアスのかかった報道姿勢は民主国家ではあり得ないと思うのだが--------。

経済学者も大半は日銀引受に否定的で、中央銀行が財政政策に足を踏み入れる事になるというような理由で反対している。しかし財政赤字がここまで膨らんだのは、社会保障費の増大だけが理由ではない。バブル崩壊後、日銀は実質的には景気浮揚につながるような策は何もせず、裁量的な財政政策だけに景気拡大の責務を背負わせた為、ことごとく失敗し赤字が膨張したのである。財政が厳しい折、今回ぐらい日銀が本気で動いても良いのではないだろうか。

尚、日銀がリラクタントに始めた量的緩和政策(2001年〜2006年)は、開始と同時に信用乗数と貨幣の流通速度が低下しており、マネーストックに大きな変化は与えておらずデフレも解消されていない。その理由はこうである。リザーブ(日銀当座預金)を35兆円に維持するということは、民間銀行のバランスシートの資産側が他の資産項目勘定(例えば投資有価証券や貸出等)からリザーブ勘定に振り替わっただけだからである。日銀は全体のマネーストックが増えるのが嫌なので、また日銀券の価値を守りたいために、リザーブ増加によってマネタリーベースが増えたと吹聴し、最もデフレ脱却に効果の薄い策を選択したのである。例外的に効果があったのは、2003年〜2004年のいわゆるテイラー・溝口介入35兆円の内、ジョン・テイラー氏の意向も受けて約4割を非不胎化した影響が残った事が大きい。いずれにしても、リザーブを高めに維持することだけを目標にすることは「やらないよりまし」程度であり、BK(金融機関)以外の市場から債券等を購入し直接資金を市中に注入しなければ、元々効果は期待できなかったのである。

ところで東大の岩本康志教授が、6月ごろ自身のブログで本書を執拗に攻撃していたが、その1つに日銀の国債直接引受の方が買いオペよりも効果が大きいとする岩田氏の主張を真っ向から否定していたものがあった。本書とは違った角度から説明すると'《1》日銀の直接引受は発行したマネーが市中にそのまま流れるのでマネーストックは同額または同額以上増加する(当たりまえ)'《2》買いオペは第1段階として、民間BKの資金が国債購入により国にアブソープされる。その源資は貸出の回収資金であるかもしれないし他の有価証券の売却資金かもしれない。第2段階として日銀がBKから国債をオペによって買い入れると、代り金が日銀当座預金に入金される。全額引き出されて、元の貸出や債券投資に振替われば効果は同じだが、BKがリザーブのまま保蔵すれば、市中からもアブソープされた資金(例えば貸出金)は元の残高に戻らない。つまり日銀による国債購入の効果は、《2》が《1》より小さくなる可能性があるということである。岩田氏は執筆後この主張を修正されたようだが、ハイパワードマネーがマネーストックや景気変動に与える影響度をどうとらえるかは、資金需要動向や信用創造の活発度により一律に考えるわけにはいかないのではないだろうか。

いずれにしても、中小企業向け貸出はこの数年で100兆円単位で減少しており、中堅・大企業も新たな資金需要はほとんど無い状況で、BKの運用先は国債購入ぐらいに限られる(だから日本国債は値崩れしない)。このままズルズルとメディアが主張するような政策をとっても、成長路線に乗ることはまず不可能である。復興国債を日銀が引受ける手段だけが、デフレと円高を解消し、企業に採算に乗る取引ができる条件が整い、労働者の所得も増加し、税収増にもつながる。正に日本が正常な軌道に戻れる唯一のナロウパスなのである。それができるのは、震災後のこの機会をおいて無い。しかし、メディアが変わらなければ、その道も閉ざされたのも同然で、わが国は正真正銘、政治も経済も相対的に地位が下落し続け「清く貧しく美しく」をスローガンに掲げなければ生きていけなくなる日も遠くないと予想される。

最後に、同シンポジウムで藻谷浩介氏は相変わらず「経済学は理論だけで役に立たない」というニュアンスでプレゼンされた。京大の教授達は特に反論もせず、大して中身の無い持論を述べられたのにはがっかりしたが、岩田氏は当然そのまま黙っておられるはずも無く、昂然と藻谷氏の説明の矛盾点を指摘し本気で怒っていた。
藻谷氏の「デフレの正体」も本日付でレビュー(星一つ)しておいたので、興味のある方はご参照を!
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By 西山達弘 トップ500レビュアー
東日本大震災の復興財源について、復興債を発行しこれを直接税で償還しようという政府の方針が揺らいでいる。
緊急を要する時に、ひとつひとつの政策がなかなか決まらず、その度に復興が遅れていくような気がしてならない。
加えて、ここへ来ての急激な円高は、ようやく回復への足取りを始めた日本経済の足を引っ張る要因になりそうである。

本書は今回の大震災にあたり、過去の大震災とその後の復興政策を概観しつつ、著者の持論である国債の日銀引受による財源手当を提言している。

いうまでもなく日銀の国債引受は「禁じ手」とされ、これを際限なく行うとハイパーインフレを誘発すると言われている。

しかし、著者は戦前の高橋財政の時代を詳細に分析し、デフレと円高にあえぐ今の日本の経済状況に照らして、適切に管理さえすればもっとも有効な政策であると提言する。
円が76円台へ突入していく今、著者の議論は日本経済を鋭く見つめていると感じる。

ここへ来て「歳出の削減」だとか「経済が回復してから」とか相変わらずの声が聞こえてくる。このままでは、再び先送りによる次の世代へのつけ回しになりそうである。
著者の議論は一見すると暴論のようにも見えるが、今は緊急自体である。
このような時には、著者の提言も議論の爼上に乗せてはどうかと感じた。
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