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5つ星のうち 5.0
遠くケインズに繋がる有効需要説,
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レビュー対象商品: 経済学原理 下 (岩波文庫 白 107-3) (文庫)
下巻は、賃金、利潤、富と価値の区別、富の増進の直接原因という計四章と、四十ページほどのヴォリュームで力の入った訳者解説、上下巻を通じた索引を収録している。やはりリカードウの生産費説に基づく理論に対して、消費する能力と意志を兼ね備えた有効需要の度合いを中軸にすえた理論を全面に展開していく。そもそもの本書の執筆の動機がリカードウの「経済学および…」の発刊にあったことは訳者解説に詳しく、リカードウとマルサス両者の、理論的には全く相容れないもの同士の交友と切磋琢磨は不思議な一方魅力的である意味理想的な関係でもある。意見の違いがすぐに人格攻撃や人格否定にまで及びがちな土壌とは異なる風土を思わせる。また、その有効需要を中心とした議論から想像できることだが、リカードウが経済学上のオーソドックスとなって、マルクスが痛烈に批判して権威を失墜していたマルサスの学説を再評価したのがケインズだったというのが、なるほどと思わせるところがあった。リカードウがマルクス経済学に想定外の影響を与えたように、マルサスがケインズ経済学に想定外の影響を与えているというのが対照的ながらどこか共通するところもある。読み手によって息を吹き返すという、書物ならではの出来事だと思う。 今の経済状況上では、リカードウの学説より多くを教えてくれる著書ではないか。
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