判断に迷うところだが今までにない見地なので星4つ。
環境政策と雇用に関する記載は踏み込みがかなり浅い。
温暖化問題における不確実性の極端な大きさを指摘したり、
バランス良く様々な論点を経済学的に分析しているのは美点。
温暖化論批判しか芸のない教条的な論者より遥かに優れている。
しかし、環境政策の雇用波及効果はもう少し調べられる筈。
○デンマークの風力発電産業
○ドイツの太陽電池産業
○ブラジルのエタノール産業
これらを詳細に調べないで結論を出すのは無理がある。
また、排出権取引や環境税の効果を性急に否定し過ぎる。
著者の推す国際環境税などは
政治的には果てしなくハードルが高過ぎて実現不可能だ。
合理的に考えれば方向性は明確であり、
日本の高度な効率化技術に対して
排出権を一定期間付与するのが正解ではないのか。
著者は排出権取引の実態が削減策ではなく産業政策であることを知っている筈だ。
面白い本だが、日本が課題とするシステム構築面が弱い。
知識の乏しい大衆向けの反温暖化煽り本などと比較して
読者層がかなり限定されるのも欠点かもしれない。
尚、エネルギー政策に関し当書に新しい情報はない。
以下の著書を参考にした方が遥かに有益である。
エネルギー争奪戦争(柴田明夫)グリーン・ニューディール―環境投資は世界経済を救えるか