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経済学の名著30 (ちくま新書)
 
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経済学の名著30 (ちくま新書) [新書]

松原 隆一郎
5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

市場経済はいかにして驚異的な経済成長を可能にするのか。そうして社会が豊かになっても貧富の格差が拡大するのはなぜだろうか。また、資本主義が不可避的にバブルや不況を繰り返す原因はどこにあるのか―。スミス、マルクスから、ケインズ、ハイエクを経てセンまで、本書は厳選された30冊の核心を明快に解きほぐすブックガイドである。それぞれの時代の経済問題に真っ直ぐ対峙することで生まれた古典は、私たちが直面する現下の危機を考えるうえで豊穣な知見に満ちていよう。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

松原 隆一郎
1956年神戸市生まれ。東京大学工学部卒業。同大学大学院経済学研究科博士課程修了。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。専攻は社会経済学・相関社会科学。社会科学と俗世に関する該博な知識を駆使して論壇でも活躍、アカデミズムとの相互乗り入れを図る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 新書: 297ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (2009/05)
  • ISBN-10: 4480064915
  • ISBN-13: 978-4480064912
  • 発売日: 2009/05
  • 商品の寸法: 17.4 x 10.8 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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By TKMT
形式:新書
  複数の目的と動機が絡みあう人間社会の解剖学たる経済学は、古典なしに語りえない。スミス、ケインズ、ハイエクら著名な人物の古典30冊を選抜し、現在的意義も含めて彼らの思想と理論を解説する卓抜の好著が誕生した。精彩に富む知的作品だ。グローバル化の時代下、経済学の古典がいかなる役割を担っているかという興味関心をもつ読者に対し、本書は格好の手引きとなろう。紹介される30冊は著者の経済学観を反映し、挑戦すべき問題群は多岐に及ぶが、とりわけ次の着眼が傾聴に値する。

  1つは、金融・資産市場の不安定性。不確実な将来における人間心理(確信・不安)と貨幣保有との有機的連関を深く省察したケインズの理論がそれを鮮明に描いている。資本主義を「市場」経済というより「貨幣」経済と把握すれば、貨幣をめぐる社会心理の「揺れ」にその不安定性の主因を見出せる。景気循環の根源を生産側の実物的なイノベーションに帰結させたシュンペーターの見解とは鋭く対峙する。もう1つは消費社会の変容。商品の特質は、企業と「差異(化)」そのものに価値をもとめる消費者間で創出されるイメージや個性に内在するとみなす、ドラッカーやボードリヤールらの洞察である。現代経済社会の駆動力として、人間の内省とそれが重なりあう社会心理との相互作用を重視する側面で2つは交わる。

  成長から停滞、物質面から精神面へのシフトが現実味を増しつつある昨今、リストの「精神的国民資本」やJ・S・ミルの「精神的成熟」をめざす学説はかえって新鮮で、これからの座標軸を確立すべく一契機とならないか。市場・貨幣、自由・平等、所有・統治、正義・福祉など、歴史的重みをもつ相関諸概念の再吟味も欠かせない。それらは未来に向けて常に鍛え直されるべきものだ。総じて古典は人格形成の貴重なファンデーションである。経済学の古典をめぐる壮大な「歴史的時間」の旅は、「覚醒」の旅となろう。本書の多様なドラマが読者をいざなう。

  応用編である著者の最新作『金融危機はなぜ起きたか?』(新書館)との併読も推奨したい。
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15 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
本書は、東京大学教授で

社会経済学を専門とする著者が

ロック『統治論』、マルクス『資本論』

シュンペーター『経済発展の理論』、セン『不平等の再検討』

など経済学の古典30冊について、

内容を要約した上で、その思想的・社会的背景を解説する著作です。

新書という形式上、1冊につき10ページ程度なのですが

本来は難解な経済学の古典が、平易かつ密度の濃い文章で紹介されており、

とても読み応えのある内容になっています。

また内容の要約と、著者による評価・解説が節を分け、

それらが混同していません。

そのため、筆者の主張に賛成する方であれば

筆者による評価まで熟読すればいいでしょうし

筆者と立場を異にする人であれば

最終節は軽く読む―ということが可能で、

立場を問わず読める形式になっています。

個別の図書の要約としても

また、それらを統一的に読む試みとしても

興味深く、含蓄に富んだ本書。

個別の著作の選択について

何であの本が(ある・ない)?!!

など疑問も読者によってはあるでしょうが、

そうした点も含めて、楽しんでいただければ―と思います☆
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10 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
社会経済学を専門にする著者が、現代(特に経済危機にあるこの瞬間)においてもその力を発揮しつづけている経済学の古典を幅広く紹介した好著。
著者自らが述べているように、特定の学派の優位性を主張するような構成にはなっておらず、多様な思想から現代に生かせるものを読者に考えさせるための案内書になっているといえる。1冊あたりの紹介は10ページ程度とコンパクトだが、それぞれの古典がどのような歴史的状況の中でどんな思想を体現しているのか、大胆に個性をつかまえて紹介がなされており、印象に残りやすい。
本書は単に各著作のエッセンスを入門的に紹介するだけのものではなく、現代にこれらの古典が読まれる意義について、著者からの明確なメッセージがあるという点は強調しておきたい。自由とは何か、正義とは何か、消費の意味とは何かなどについて経済学の名著は思想を豊富に提供する。しかし、現在進行中の金融危機の背景にある市場原理主義は、このような思想を捨て去った浅薄な経済理論に則っているために、破局的な状況に対して根本的な対策を提示できないでいる。こうした世相や経済学界の思想状況への痛烈な批判が本書全体に散りばめられている。
もっとも、筆者が反新古典派の主張を押し付けようとしているわけではない。主流の経済理論がスタンダードとなり、それ以外を認めない不寛容さが支配的になり、多様性を失っていることが問題なのである。混迷の時代には多様な思想が闘わされることで処方箋が生まれるものである。今こそ古典の力を活かさなければならないというのが本書のメッセージである。
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