本書は、ゲーム理論を学ぶのであればまず読むべきといわれている本です。
コンパクトな本の中に、非常に簡潔で硬派な記述がされており、安心して読める本でした。
本書を読み終えると、ゲーム理論に関連した分野の文献が、はるかに読みやすくなります。
ゲーム理論におけるゲームは、大きく4種類に大別され、それを分けるのは、ゲームが静学か動学か、情報が完備か(すなわち、それぞれのプレーヤーが相手の利得関数を知っている)か、不完備かという基準です。この基準により、ゲームは完備情報の静学ゲーム、完備情報の動学ゲーム、不完備情報の静学ゲーム、不完備情報の動学ゲームの4種類に分けられます。
それぞれには均衡の概念が存在し、ナッシュ均衡、サブゲーム完全なナッシュ均衡、ベイジアン・ナッシュ均衡、完全ベイジアン均衡がそれに当たります。といっても、これら均衡概念はお互いにかけ離れたものではなく、ナッシュ均衡の概念をゲームの仮定の複雑化に合わせて調整しているものというのが適切なのだと思います。「与えられた条件下で、合理的に、想定しうる相手の行動に対して適切な行動をする結果達成される」というのが、それぞれの均衡の共通点なのだと思います。
それぞれのゲームについて、現実の事象を例にとった研究の紹介がされていることがとても良いと思います。なぜなら、これにより、ある経済事象についてゲーム論的に考える思考訓練が出来、自らの研究分野をより彩りのあるものにしうるるからです。巻末の練習問題に解答がついていたら文句なしだったのですが、そこは少し残念(それが星4の理由)。
数学の水準ですが、高校数学がわかれば基本的に大丈夫だと思います。高校で習うことのない内容については、丁寧に解説がついていますし。