宇沢氏の理想は地球環境、教育、医療を中心とする社会的な共通資本の問題を市民一人ひとりが真剣に考え、魂の自立を図る社会の実現である。しかしそれは、人間の心を持ち込むことをタブー視する経済理論の下では成立し得ない。宇沢氏は持論に理解を示してくれた昭和天皇やローマ法皇ヨハネ・パウロ2世とのやり取りを振り返りつつ、人間社会の原点について考え直すヒントを提示する。
そのうえで、田中康夫・長野県知事による「脱ダム」宣言を「世界全体にとって、新しい時代の時代精神を簡潔で、格調高い文章で表したもの」と称え、全文を引用する。自然環境を後世に受け継ぐことは、豊かな人間社会構築の第一条件だと言う。さらに「リベラルな教育」を実践するための基本思想についても、古典的学説を引用しつつ分かりやすく解説する。
(日経ビジネス 2003/07/14 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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