イラスト等を取り入れた経済学の入門書自体はむしろありふれた存在であるが、本書の特色は別のところにもある。経営コンサルタントである著者が、実務での豊富な経験から、初心者がどこでつまずくか、どんな部分に疑問を抱くかを把握している点だ。難解な箇所はすべてわかりやすい例や図で補ってくれている。たとえば「GDPの三面等価」を、お父さんの仕事と給料、家計の関係を例にとり、たった6行でわかりやすく説明してしまうのだ。それでいて経済学の基礎を学ぶために必要な用語、公式類はほとんど網羅されていることも、本書の特色のひとつである。平易に書かれているだけではなく、経済学を学問として勉強したいと考えるビジネスマンや学生の要望にも十分に答えられる内容なのである。
日本経済がかつてないほど深刻な不況に見舞われている時期だからこそ、だれもが経済の仕組みを理解しておくことが重要である。しかし、初心者がいざというときに頼りにできる書籍は意外に少なかった。本書のように、文字どおりだれにでも理解できるよう書かれた入門書は、非常に頼もしい存在となるだろう。(工藤 渉)
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