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経済史の理論 (講談社学術文庫)
 
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経済史の理論 (講談社学術文庫) [文庫]

J・リチャード・ヒックス , 新保 博 , 渡辺 文夫
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

20世紀を代表する理論経済学の巨匠ヒックスが、「市場の勃興」を中心に世界経済史の道筋を理論的に解説。古代地中海世界の都市国家で活躍した商人がその交易活動によって「市場の浸透」の第一局面を開拓。続いて古代ローマにおける貨幣や法の整備、中世イタリアの銀行など信用制度の発達による中期の局面を経て、産業革命期の近代で市場経済が支配的になったとした。現代経済社会の理解に必携の名著。

内容(「BOOK」データベースより)

二十世紀を代表する理論経済学の巨匠ヒックスが、「市場の勃興」を中心に世界経済史の道筋を理論的に解説。古代地中界世界の都市国家で活躍した商人がその交易活動によって「市場の浸透」の第一局面を開拓。続いて古代ローマにおける貨幣や法の整備、中世イタリアの銀行など信用制度の発達による中期の局面を経て、産業革命期の近代で市場経済が支配的になったとした。現代経済社会の理解に必携の名著。

登録情報

  • 文庫: 320ページ
  • 出版社: 講談社 (1995/12/4)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4061592076
  • ISBN-13: 978-4061592070
  • 発売日: 1995/12/4
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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5つ星のうち 5.0 経済体制成立の発生論的分析, 2011/5/19
By 
dvrm - レビューをすべて見る
(トップ100レビュアー)   
レビュー対象商品: 経済史の理論 (講談社学術文庫) (文庫)
 ケインズの経済学説を数理的に体系化したといわれるヒックスによる、経済体制成立の発生論的な分析書。数式は一本も出てこないし、グラフもなく、「価値と資本」を見た記憶からすると同一人物の著作とは思えないほどの体裁だ。解説を見ると、研究者としての初期ヒックスから後期ヒックスへの転換期の著作なのだという。

 内容を見てみると、まずこの著作の目的を述べてから、地域をまとめる意思決定の原理として上からの指令経済と、下からの慣習経済という二つを見出し、そこから社会状態をさらに広げていく第三の商人的経済の発生を提起し、その典型を古代ギリシア・ローマや中世ヴェネチアなどの都市国家に見る。そこに見える萌芽的秩序としての交換市場の仕組みが、国家による貨幣・法律・信用の保証を得て強化され、一方で国家も市場のプレイヤーになることで財政政策の絡みから金融市場も整備され、農業も財市場や金融市場とリンクし、近代農業や近代工業の確立によって労働市場も機能し始めるという筋書きが、手際よく繰り広げられていく。

 ここで語られているストーリーをどう受け取るかでこの著書の評価は大きく分かれるのではないか。著者は統計力学の比喩を交えて解説するが、読んでいて、真実性については判断しかねる一方、実際納得できる議論で、その蓋然性は高いと思う。

 こうやって各市場の成立の経緯を見てみると、今では渾然一体になってしまってわかりにくくなっている経済システムの効き目が一つ一つ想像しやすくなる。歴史を学ぶことは現在と距離をとることで現在を理解しやすくするという効き目をくれるが、この著作はまさにそういった効き目があるいい例だと思う。
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5つ星のうち 4.0 教科書にこういう中身を入れるべきですね, 2011/10/16
レビュー対象商品: 経済史の理論 (講談社学術文庫) (文庫)
300ページほどの比較的短い一冊であるが(しかりなんで経済学の本って長いのが多いのだろうか)、古代の市場の勃興から、産業革命までの人類の歴史を扱っている、野心的な一作である。訳者解説によれば、著者の自信作の一つであるそうだ。

「市場って何?」「経済ってなに?」「産業革命ってなに?」という、実は世の中の人が答えられない疑問に正面から答えようとしている。特に感銘を受けたのは、「産業革命」と題された九章。

<純粋の商人の場合は買入れるものと売るものが物理的に同一の形態であるが、職人は買ったものを形を変えて売っている。職人と商人の違いはこれだけである。取扱う素材に「労働を加える」ということについては、商人もまた買入れたものよりも売るものに、より高い価値をもたせようとして、「労働を加える」(かれが雇っている事務員や倉庫係の労働を含めて)---つまり、顧客はより効用のある時と場所で商品を手に入れることができるから、その商品はより高い価値をもつことになるのである。このように経済的には手工業と商業とはまったく一致している。>(pp. 238-39)

この件についてはいろんな人がいろんなことを言っているが、ここまでシンプルに分かりやすく説明してもらったことはなかったね。しかし、商業と工業を分ける要素が一つあるという。

<しかしながら、今日では工業と商業が完全には一致しない点が一つある。(…)商人の資本は主として運転資本、ないしは流動資本---回転される資本---である。(…)工業が手工業段階にとどまるかぎり、手工業者や職人の地位は商人のそれとそれほど異ならなかった。たしかにかれは道具をもっていたけれども、かれが使用する道具は、必ずしも高価なものではなかった。(…)固定資本が中心的地位を占めたとき、あるいはしめはじめたとき、まさに「革命」が起こるのである。>(pp. 239-40)

経済学では定説なのかもしれないが、ぼくがこれまで読んだ本の中では、こんなクリアカットで説得力のある説明に出会ったことはなかったなあ。それで、著者の説明は、当然のごとく、長期の資本の調達が容易になってきていた、当時の金融環境について触れ、産業革命の背景について説明している。当たり前のことではあるが、大きな機械(まさに「固定の」資本)を使って大工業を行おうと思ったら大きな資金が必要となる。本書に書いてあるわけではないが、普通に考えると、大きな資金を使って事業をやろうと思ったら、やり方はおそらく二つしかない。例えば1000億円くらいの事業を想像してみる。iPhoneをつくったアップルは偉いが、あそこの中に入っているすんごい半導体を作るにはすんごい設備投資が必要であり(半導体産業は百億、千億単位の巨額の設備を必要とする)、すんごい設備投資を可能にするためには当然金融業が発達していないといけないのである。ジョブズは天才かもしれないが、iPhone大好きなおたくな青年が、iPhoneでFacebookのデモ呼びかけ情報を見て「ウォール街をぶっこわせ」とかいうデモに反対するのは(そういう人がいるかどうか知らんが)、必ずしも筋が通っていないような気はする。

話がそれた。大きな事業をするという方法の話。一つは、国のような大きな単位で強制的に税金を集めて、国の元首が事業を行うという方法。ピラミッドも万里の長城もこうしてできた。これは王様がいけていれば、大したものができるかもしれないが、競争が働かず、現代風に言うところの事業内部のガバナンスも存在しないため、必ずしもいい事業ができるとは限らない。もうひとつの方法は、自発的に貯蓄という形で集まった世の中の余剰資金を、金融機関が事業家に融資(ないし出資)するという方法。お金持ちがせっせと自分で蓄財して自己資金で大事業をやるという方法もなくはないが、普通に考えればこれは効率が悪いことこの上無い。

このように、産業革命の大きな本質の一つが、流動資本から固定資本中心の産業への、バランスシートの内容の変化にあるとすると、金融セクターの成長が産業革命の重要な側面の一つだったと言えるはずなのだが、そういうことってちゃんと習ったことなかった。内燃機関の発明がなんちゃらとか、そういう説明を覚えるよりも、こっちの方が世の中に出て必要な知識だと思うのだが。そういう風に社会の教科書も変えた方がいいんではないんでしょうか。

経済の変化の仕方については興味があっていろいろ本を読んでいるが、ジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』に並ぶくらい、示唆にあふれた一冊。ダイアモンドの方が読み物として抜群におもしろいが、こちらも再読に値する一冊。
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21 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 この本は・・・, 2003/10/17
レビュー対象商品: 経済史の理論 (講談社学術文庫) (文庫)
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