わかりやすく経済学の歴史をご教授してくれます。
紹介されている著作はどれも有名かつ有益なものばかり。
一読すると、経済学を深く勉強してみたくなるかもしれません。
この分野の入門書としては、おそらくNo.1では?
(もちろん、本書のあとはハイルブローナーの一冊を。)
各章の要約です(主観)。
■第一章:アダム・スミスが見た「見えざる手」
アダム・スミスは、「国富論」 の中で、重商主義で貿易黒字を出すことが富の源泉であるとする考えを否定し、それは労働力にあると述べ、その上で、個々人が望むように消費活動を続けることで社会は繁栄していくものと述べている。また、繁栄の前提として、人間は利己心の塊ではなく、利他の心(道徳心)もち合わせていると考えていた点、覚えておきたい。
■第二章:マルサス、リカード、マルクスの悲観的世界観
「国富論」に対し、三つの有名な論がある。一つ目が、人口の増加が指数関数的に・半永久的に増えることができる一方、地球上の土地は有限であるため、商品需要の逼迫が発生するとするマルサスの「人口論」。二つ目が、生活の改善により、人口は増えるが、資本家は競争の激化(競合の増加)により利益を伸ばすことが難しく、労働賃金を下げざるを得ない。結果、儲かるのは「地主」だけだとするリカードの「経済学および課税の原理」。三つ目が、資本主義の発展は、産業予備軍(職に就けないもの)を生み出し、彼らの生活が限界に達した時、資本主義は最終段階に至ると考えたマルクスの「資本論」である。
■第三章:ケインズが説いた「異論」
ケインズは「一般理論」を著し、不況の時は、金利を下げて企業が資本を借り入れしやすい環境をつくり、また、政府が積極的に市場に介入して経済を活性化させ、雇用を増やす必要性を示唆した。また、エリート主義の考えに基づき、国の経済は「大きな政府」が先導すべきであるとも考えた。
■第四章:シュムペーターの「創造的破壊」
シュムペーターは「経済発展の理論」を著し、経済は外からの変化を受けて変化していくものではなく、内から動態的に変化していくものと考えた。古いものを破壊し、新しいものを創造するという「創造的破壊」の言葉は有名。また、創造は消費者のニーズからではなく、生産者側が消費者に新規なものを提供することでおこると考えた。
■第五章:ハイエク、フリードマンが考えた「自由な経済」
ハイエクは、この世に全能な人など存在しえず、失敗は必ず避けられないものであると考え、ケインズの「エリートが集う政府に大きな権限を与える」考えに異論を示した。また、フリードマンは市場の自由主義を認めつつ、低所得者層を自由放任してしまわないよう配慮した政策をとるべきだと主張した。教育バウチャー(金券)の提唱者としても有名である。