リーマンショックから1年を経過した今、日本と世界経済の現状を概観し、今課題といわれているテーマについて客観的なデータに基づき近未来の姿を確信を持って予測している。
本書によれば、近い将来日本の貯蓄率は低下し、貿易赤字になる。
日本の貯蓄率が高齢化社会への突入に伴い、徐々に減少しつつある。そして、財政収支も巨額の赤字を出し続ける。とすれば、経済学の教科書の通り、貿易赤字になる日も遠くはないというわけである。
そして中国である。今年中には、日本を抜いて世界第二位の経済大国に躍り出るのは確実であるが、急速に進む少子高齢化と深刻な資源環境問題が、いずれ阻害要因となるだろうと予測している。
また、米国の地位は低下するにしてもドルに代わる基軸通貨の役割を果たすことのできる通貨は存在しない。特に、欧州通貨統合は経済危機以降、ギリシャにみられるように、特に周辺国においてそのマイナス面が顕著になりつつあり、先行きについても悲観的である。
したがって、最近にわかに議論を聞くようになったアジア通貨圏構想は、まったく現実的ではないと切り捨てている。
中国やインドが経済成長を加速するようになったきっかけは、自国市場を解放し、海外から投資を呼び込むことによってもたらされたものであり、グローバル経済についてはその恩恵の方があるかに大きいとしている。
著者の視点は、客観的でありかつ公平で好感が持てる。