2011.04.13購入、同年05.05読了。 我が国を含む国際経済全般の最新(但し震災直前の)概説書。 アメリカと欧州(EU、ユーロ圏)、中国、新興国(ブラジル、ロシア、インド、韓国)、日本の5章にわけ、52項目のQ&Aスタイルで書かれている。 「世界経済編」とはいいながら、本書は特にアメリカと欧州について(次いで中国)の考察が主である。
一読して思うのは、いつものことながら、この著者の説得力は抜群であり、かつ、「日本人が日本の国益のためを思って書いている人」ということである。
ある論者(特に政治経済評論家や、政治家)の言い分が正当かどうか、日本のためにものを書いている人か、外国のために書いている人物なのかを判定するには、5年、10年、15年と遡って主要な著作・論文を読んで、実際の政治経済の経過と比較してみれば分かる(予測が悉く的中する必要まではない。 占い師ではないのだから)。 もう一つは、いくら政治経済事象を小学生にも分かり易く解説する腕前が素晴らしく、世間では三橋氏を上回る超人気解説者であろうが、日本の国益にとって甚だ危険なこと(たとえば、中国人大量移入計画、日本の防衛力の相対的弱体化等)に警鐘を鳴らさず、すっとぼけているような人は、外国の手先と看做さざるをえないのである。
三橋氏は毎月1−2冊の新刊書を複数の出版社から出すので、片っ端から買っていると読み終わらないうちに新刊が出てしまうし、同工異曲のような本も私の見るところ半分くらいはある。 しかし、1冊1000〜1500円ほどだから、月1冊くらい月刊誌のつもりで買えば問題ない。 同じことを、違う体裁で、少し違った切り口で読めば、より頭に入るというメリットもある。
多数の著作は、かなり内容は重複しているので全部買う必要はないが、3冊のうち1〜2冊くらい買っても、以上の理由から損はない。
本書の出版は3.11大震災直後であるが、編集が間に合わなかったのであろう、震災の考察は反映されていない。
それについては早速、新刊書が出ている(「日本の大復活はここから始まる!」小学館 2011.04.14)ので、私も取り寄せ中である。読むのが楽しみだ。
本書は又、自然災害の多い我が国で公共事業(特に防災事業)を無駄と決め付け「事業仕分け」して得々としている民主党政権を批判している。尤も、それは13年前から自民党がやっていた路線であることも正直に書いている。昨夏、自民党から参院選に出馬(比例代表区で落選)した著者としては、少し書き難いことであったろう。
この著者以外で、大震災発生の少し前に出版された見るべき本は、防災のための公共投資を主張していた「公共事業が日本を救う」(藤井 聡 文春新書2010.10.20)ISBN-10: 9784166607792」を併せて推薦する。 藤井氏はこの新書のなかで「宮城県沖地震に至っては30年以内発生率が99%」と警鐘を鳴らしている(p.173)。 私が、出張の列車内で「公共事業が日本を救う」を読了したのは、奇しくも今般の大震災が発生した2011.03.11の昼少し前であった。