あとがきに,「もっともやさしい経済の入門書になった」と書いてあるように,少なくとも今までに読んだ経済の入門書のなかでは破格の読みやすさと言える。しかも,各章の末尾には,「今回学んだ概念」が列記してあり,本書の説明とその概念の教科書や経済学事典などの説明とを比較すればさらによく理解できると思われる。
「復習問題」とその解答もよく考えられており,あとがきで2つめのユニークな特色としている,「やさしいけれど,経済の考え方をしっかり書き込んだ本」の要素のひとつとなっている。
また,最終章の「経済を学ぶと仕合わせになれるか?」は,青少年向けなればこその章でもあろうが,大人にとっても十分に考えを深めるきっかけになる章である。
少々読みにくかった点は,文中の登場者名がちょっと奇抜であること。この点は最後まで違和感が消えなかったが,ジュニア層にはこの方が親しみをもって読めるということかも知れない。
最近の岩波ジュニア新書は,大人が読んでも良書といえる本を連発しているとの評価が高まっているように見受けられ,本家の岩波新書に勝るともとも劣らぬ叢書として注目している。