『経営者になる経営者を育てる』
「優秀な経営者になる」、または「優秀な経営者を育てる」ためにはどうすればいいのか。ボストンコンサルティンググループでのコンサルタント活動や第一線の経営者へのインタビューなどから、必要条件を抽出する。
優れた経営者は、“経営者のスキルセット”と呼ぶべき一連のスキルを持っているという。それはマネジメント知識と論理的思考といった「科学系スキル」と「アート系スキル」に大別できる。本書は、形式知化しにくく、習得が容易ではないアート系スキルに焦点を当てて詳細に解説する。
著者が考えるアート系スキルとは、強烈な意志、有機、インサイト、しつこさ、ソフトな統率力の5つ。これらのスキルは個人の属性として扱われることが多いが、著者はそれを否定し、強烈な意志さえあれば、ほかのスキルは先天的に持ち合わせていなくても習得できると主張する。自分なりの訓練法を構築して習慣化すること、また体験を通じて習得することが重要だとして、その方法論を紹介する。
個別スキルの中には、反対の性質を持ったスキルもある。どのスキルを前面に出すかによって、経営スタイルも変わってくる。経営環境に応じて、メリハリをつけてスキルセットを使い分けることが必要だと指摘している。
(日経ビジネス 2005/07/18 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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「事を成し遂げるのは、人の“才(能)”ではなく、“意(志)”である」(ユニ・チャーム高原会長)、「単に自己顕示欲が強いだけで人の上に立ちたがる人は、経営者になっても下の人がついてきません」(京セラ稲盛名誉会長)など、経営者の言葉にも納得でした。
日を改めて、読み返したい言葉がいくつもありました。
「その能力をいかに習得するか」については、「意識的に繰り返し訓練し、その状況をメモする」など具体的だ。それを導くに当たって、著者がコンサルタント能力の磨き方を披露する下り(クライアントとの間で、情緒的なコミュニケーションが取れるようになるために、相手や同僚に聞いて回ったりメモしたりする)は、やや笑えるが、実践的なスキル習得法とは、このようなものなのだろう。
「経営者の優劣を決める要素に、アート(あるいは暗黙知。論理的に説明し切れない部分)がある」という考え方には、感覚的に、多くの人が同意するのではないか。
本書は、そのアートの部分を、論理的に、言葉で説明(形式知化)している。経営者のアート系スキル(能力)を5つに分け、解説する。その5つが最も重要なスキルかどうかについては賛否両論あるだろうが、重要な要素であることは評者も同意できる。正答は容易に得られるものではないはずだから、読者はこれをベースに、自分なりの答えを見つけていくことが肝要だ。
本の半ば、「志が重要」ということが強調される部分は、ややダレルが、
経営者の経験に基づいたコメントが利いているので、救われる。
それだけ拾い読みしても、十分、為になる。
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