本編はマイケル・ポーターのポジショニング理論に基づいた経営戦略のケーススタディ集である。タイトルは「教科書」となっているが、決してワセダのビジネススクールがこれを教科書としているわけではないこと、当然である。こんな簡単なことを学ぶためにわざわざ早稲田に行くこともない・・・・。
本書は「入門書」に徹しているため、経営戦略に関する既存のツールを概観しようというものである。3C分析、SWOT、ヴァリュー・チェーン、アドバンテージ・マトリクス、今となってはもはや陳腐化しつつあるアンゾフのマトリクス、PPM等々を概観する。
興味深いのは、具体的な企業のケーススタディが載せてあることだろう。といっても、微に入り細にまで入り込んでどうにかするってもんでもない。これもまた、概観にとどめている。読者ならすでに聞き及んでいることと思われることばかりで、たいして勉強になるものでもない。
本書は折につけ、ドラッカーの言葉を引用しているが、残念ながら「理論は現実に従う」というのが引用されていない。
これは、「理論は現実に従う。我々にできることは、すでに起こったことを体系化することだけである」「理論は現実を体系化する。理論が現実を創造することは、ほとんどない」ということである。本書もそういうことで、既存の会社に現実に起こったことが書かれているのだ。
本書は、楽に読める。より具体的かつ踏み込んだ論点を知りたければ、早稲田ビジネススクールに来なさいということなのだろう。