昨今、イノベーション流行(はやり)で、技術イノベーション、
製品イノベーション、ビジネス・イノベーション、
マーケティング・イノベーションなどなど、
あちこちで語られることの多い「イノベーション」。
しかし、企業や組織の経営管理については、組織の階層構造や課業管理などの
点で、実は100年前のテイラー時代のアイデアが根本にあって、
経営管理そのものは、「不変」「普遍」と思いこんでいます。
しかし、著者は、経営管理の進化は、果たして頂点に上って進化する余地
はないのか?と冒頭で課題を提起します。
本書では、この経営管理イノベーションに焦点をあて、「経営管理は
その転換点を迎え、未来に向けてイノベーションを行うべき」と結論づけます。
最も注目すべきは、現在までの経営管理手法が、「従業員」という、
工業化社会の歯車を生み出し、彼、彼女の個性や創造性、自由意志や考える
力を無視し、管理する側と管理される側という枠組みで、資源配分、効率の
追求にまい進してきた歴史的経緯があるが、知識社会や脱工業化社会では、
その枠組みが適合しなくなっている、という指摘が、斬新で、新鮮です。
近代経営管理の総括部分を読んでいると、「なぜ管理職がいるのか」、
「なぜ、命令は上から下なのか」、「なぜ現場の意思決定が大事なのか」など、
卑近で素朴な疑問に対する、ヒントを読み取ることもできます。
過去の経営管理を整理し、これからの新しい経営管理イノベーションを考える
ヒントを多数検証していく中で、例として、グーグルの「経営管理のない経営
管理」やゴアテックスで有名なゴア社のフラットでコミュニティベースの
組織運営、さらに、オープンソース・ムーブメントに、今後の「経営管理2.0」
のヒントを垣間見るなど、正統派や伝統的な固定観念からは遠い、周縁から
の革新の発生、イノベーションの種を紹介し、マネジメントの未来を高らか
に提言しています。
また、旧式経営の象徴とも見れる、IBMが、大鉈をふるって
大改革をした際の顛末をも詳細に紹介し、経済環境のスピードが早まり、
従来とはまったく質までも異なる競争世界において、いかにして
経営管理のベスト・プラクティスを模索し、実行していくか、の後押しを
本書で試みています。
スター経営者にスポットライトがあたりがちな、米国型会社経営では
なく、組織のDNAを解剖し、永続して進化していく、組織の経営管理の
越し方行く末を、最新のWeb2.0状況をも取り込みつつ、新しい組織と
人間の創造活動の営みの未来を指し示す、独創的で稀有な、すばらしい
ビジネス書にめぐりあえました。
蛇足ですが、一見、「堅い文章」「抽象的な話」な予感がしますが、
実際には、内容のわりには、文章が平易だし、具体例や他文献の引用も
織り込まれて、この手の堅い本にしては、読みやすいです。