本書の一番おいしい部分は、上流工程における「設計」に関する思考を明確にして
「データ」「制御」「状態」という3視点からシステム設計、実装への変換がどのように行われるべきか(教科書ですから)を明確に提示してくれた点でしょう。
レビュアーは金融のレガシーシステムのオンライン、バッチのプログラムをメインに書いて来た者です。UMLやJAVA、オブジェクト指向等、最近の技術動向とは全く無縁のこの職場に「運悪く配属されてきた新人」をどのようにして、拡張性のある技術を身につけさせてかが近年の悩みでした。本書はその典型解を、「話題沸騰ポット」というシステムを例に、設計プロセスを可視化してくれています。この部分は本当に良くできていて、要求仕様の書き方まで言及されているという目配りのよさ。
このレビューを読んでいただいている若年(仕事を始めて3年未満)のシステム開発者の皆さんへ。先輩に「システム設計とは何をするのですか」と質問して、明確な答えが返ってこない場合(が多い)、是非本書を紐解いていただきたいと思います。