本書は、2000年に刊行された「組織の不条理」を文庫化した内容となっている。とはいえ、新たな視点も披露されている。「文庫版のあとがき」では、不条理の解決法について、単行本刊行10年後の私見を披露されており、その章がとても興味深い。
具体的には、カント哲学の議論を援用し、組織を他律的組織と自律的組織に分類する。他律的組織は、子供のようにいわれたことだけをする組織観である。逆に、自律的組織は、自らの自由意志を基盤とし行為を行い、行為の責任を意識する組織観であるという。このような自律的組織は、カントがいう「啓蒙」された組織であるという。
菊澤氏は経営哲学学会の現会長であり、このような奥深いカント哲学を援用することが出来る背景には経営哲学の奥深いバックグラウンドを伺えそうだ。また、野中郁次郎氏の最新経営理論「マネージングフロー」に関しても言及しており、経営学者は必見の最新文庫となっている、そういえるだろう。