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組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)
 
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組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫) [文庫]

菊澤 研宗
5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (12件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

“組織”はなぜ不条理な方向へ突き進むのか。気鋭の経営学者が、日本陸軍の失敗を題材に、「取引コスト理論」「エージェンシー理論」など最新の経済学理論に基づいて現代企業が抱える組織の問題を解き明かす。

内容(「BOOK」データベースより)

個人は優秀なのに、なぜ“組織”は、不条理な行動に突き進むのか?日本陸軍の失敗を題材に、「取引コスト理論」「エージェンシー理論」「所有権理論」といった最新の経済学理論を使い、現代企業が抱える組織の問題を解き明かした話題作。

登録情報

  • 文庫: 352ページ
  • 出版社: 日本経済新聞出版社 (2009/9/2)
  • ISBN-10: 453219511X
  • ISBN-13: 978-4532195113
  • 発売日: 2009/9/2
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (12件のカスタマーレビュー)
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21 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
本書は、2000年に刊行された「組織の不条理」を文庫化した内容となっている。とはいえ、新たな視点も披露されている。「文庫版のあとがき」では、不条理の解決法について、単行本刊行10年後の私見を披露されており、その章がとても興味深い。

具体的には、カント哲学の議論を援用し、組織を他律的組織と自律的組織に分類する。他律的組織は、子供のようにいわれたことだけをする組織観である。逆に、自律的組織は、自らの自由意志を基盤とし行為を行い、行為の責任を意識する組織観であるという。このような自律的組織は、カントがいう「啓蒙」された組織であるという。

菊澤氏は経営哲学学会の現会長であり、このような奥深いカント哲学を援用することが出来る背景には経営哲学の奥深いバックグラウンドを伺えそうだ。また、野中郁次郎氏の最新経営理論「マネージングフロー」に関しても言及しており、経営学者は必見の最新文庫となっている、そういえるだろう。
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4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
面白い試み 2010/4/19
By 梵太
形式:文庫
2000年に出版された『組織の不条理――なぜ企業は日本陸軍の轍をふみ
つづけるのか』を文庫化したものである。文庫化にあたっては、文庫版
へのあとがきが追加されている。ビジネス書あるいは戦史分析の読み物
としては、なかなか面白い試みだと思う。

本書は、新制度派経済学の制度論アプローチを枠組みとして、組織行動
の不条理が成員の合理的行為から生じうることを論じる。普通に考える
ならば、成員の非効率・不正・非倫理的な行為が集積することで、不条
理な組織行動が生じるというほうが素直で、理解しやすい。ところが、
本書で著者は、個々人の合理的行為の積み重ねが全体としての非効率・
非倫理的な結果を生むというパラドキシカルな論を展開している。これ
が本書の面白さだろう。この主張が丁寧に繰り返されているので(やや
冗長にも感じたが)、楽に読める。また、議論の中心となる事例は太平
洋戦争における「ガダルカナル島の戦い」「インパール作戦」「ジャワ
軍政」「硫黄島の戦い・沖縄戦」で興味深かった。

ただし、「不条理」の意味するところが不明瞭で著者の論がぼやけてし
まった感がある(文庫版のあとがきにてこの点について少々触れられて
はいるものの)。「不条理」かどうかの判断が結果にのみ求められてお
り、違和感が残った。例えば、リトルリーグのチームとプロ野球選手が
対戦したらリトルリーグのチームがほぼ負けるだろうが、その結果をも
ってリトルリーグ側が不条理な組織行動をとっていたとはいえない。
また、不条理を乗り越える方法として、「開かれた組織」にするための
組織文化をもつ、あるいはカントの自律する人間像を掲げているが、こ
れもまた違和感がある。制度論においては、組織文化も制度としてとら
えられ、制度導入のコストがかかる。これを無視して議論が進められて
いるからである。
逆に、311頁の制度数と総コスト(資源利用コスト+制度形成コスト)の
ところは非常に面白かった。

いかに個人の合理性を組織の効率性に結びつけるのかという実践的な関
心から読むのには良い。(アカデミックな)分析的な関心から読むと物
足りない。
このレビューは参考になりましたか?
7 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
先に結論から話しますと、以下の通りとなります。
「組織が不条理な行動に突き進むのは、実は人間の合理性によって生み出されたものである」
これが、太平洋戦争で日本軍がどのように戦ったのかを実例に示されています。

その前提として、人間は完全合理的ではないということです。
すべての人間の合理性は限定されており、人間は限定された情報のなかで意図的に合理的にしか行動できない、のです。
つまり、限定合理的な人間同士の取引では、自分に有利になるように相互に駆け引きが起こる可能性があり、そのために各種弊害が発生します。

これには、以下の3つが理論を元にしています。
1.取引コスト理論
⇒現状が非効率で不正なものであっても、状況を変革に伴う各種取引コストが発生し、かつ投資コストが回収できない埋没コストが発生するなら、現状に留まる方がより合理的となりうる。

2.エージェンシー理論
⇒たとえ不正で危険な行為であっても、エージェントの自己利益を追求するため、プリンシパルとの契約を破り(モラルハザードを起こし)、徹底的に作業を合理化し、改善を進める方が合理的となりうる。

3.所有権理論
⇒所有権の帰属が明確でないと、資源が非効率に利用され、マイナスの効果が第三者にもたらされることがあるが、所有権を明確にするコストがあまりに高いと、何もしない方が合理的となりうる。

これら弊害を打破するためには、組織としてどれだけの成功を納めても、自分たちが神のように完全合理的だと錯覚することなく、常に誤りうると自覚し、批判を受け入れる体制を取ることが重要です。
逆に言うと、その批判を受け入れない体質であれば、進化することなく、絶えず不正と非効率を単調増加させることになり、最後にその組織は淘汰されることになるのです。

非常に示唆のある本でした。
少し、繰り返しの内容が多かったと感じる部分があり、もう少しコンパクトになれば、なお良しと思います。
(よって、満点から星を一つ減らしました)
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