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組織の思考が止まるとき  ‐「法令遵守」から「ルールの創造」へ
 
 

組織の思考が止まるとき ‐「法令遵守」から「ルールの創造」へ [単行本]

郷原 信郎
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

混迷の日本へ放つ、著者初の再生提言!
「正義の組織・検察」で起きた証拠改竄事件を入口に、日本の危機を象徴する20を超える企業・官公庁のクライシス(危機)の現場を徹底検証。浮かび上がる日本社会混乱の本質。
我々日本人に根づく「法令遵守」の姿勢を乗り越え、すべての組織が活力を取り戻すための「ルールの創造」という新たな方法論とは?
危機的状況の今こそ、日本におけるすべての人と組織が試されている。

多数の企業・官公庁の顧問を務め、組織における不祥事の最前線の現場に関わり続ける著者による、日本社会論の決定版!五年間の活動の集大成にして、渾身の書き下ろし。

◎検察組織における問題の本質を徹底解明、「検察再生」への道筋を初めて本格的に提示!
◎八百長相撲、トヨタプリウスリコール問題、医科大学における「患者中心でない」医療、メディアバッシング、原子力発電所点検漏れ、証券市場をめぐるルールの混乱・・・あらゆる組織のクライシス(危機)の現場を検証。従来のメディアの情報とはまったく異なる、「日本社会の真の姿・本質・未来」が見えてくる!
◎「検察は企業に学べ」!?急激な社会の環境変化に適応し続けるために、すべての組織はどう変わっていけばよいのか。日本の「組織をみる眼」があなたのものに。
◎すべての組織が本来の力を取り戻すための、「思考の原則」を提示。

内容(「BOOK」データベースより)

前代未聞の検察不祥事を入り口に、20を越える企業・官公庁のクライシス(危機)の現場を徹底的に検証することを通して浮かび上がる、日本混乱の本質。我々日本人に根づく「法令遵守」の姿勢を乗り越え、すべての組織が活力をとり戻すための「ルールの創造」とは。国の未来を切りひらく―コンプライアンス問題の第一人者として、日本における「法令と社会の実態の乖離」を指摘し続けてきた著者が示す、日本再生への道筋。

登録情報

  • 単行本: 288ページ
  • 出版社: 毎日新聞社 (2011/2/26)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4620320374
  • ISBN-13: 978-4620320373
  • 発売日: 2011/2/26
  • 商品の寸法: 19 x 12.6 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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コンプライアンスは「社会の要請に応える」と捉えるべきであり、こと日本においては「法令遵守」という言葉で分かったつもりになるのは最も危険、というのが従来から著者の一貫した主張である。本書では検察をめぐる問題を軸に、数々の企業不祥事を例に挙げながらこの主張を明快に展開して行く。現在進行中の「検察の在り方検討会議」のメンバーでもあり、企業や官公庁の不祥事でも多くは第三者委員会のリーダーとして関わってきただけに、内容が具体的でありながら、ポイントは明確に表現されてクッキリとした像を結んでいる。かといって問題点を摘出し、提言した再発防止策を実行することでその組織がすぐに変わる、というようなきれいごとを述べているのではない。電力会社や製薬会社の事案では、不祥事が再発しているのであり、こうした事実も赤裸々に語っている。そうすることで、話に奥行きができているように感じられる。思えば社会の要請というのは、瞬間瞬間変わり続けるいわば「無常」の世界であり、これに「応える」にはいまこの瞬間に集中するしかなかろう。いま・ここに居る人たちが、目の前で起こっていることの本質を掴むべく自分のアタマをフル回転させ、周囲の経験知の助けを借りて、「ルールを作り、活かし、改める」。こうした「ルールの創造」という新たな取り組みを、本書は提案している。問題を前にして、自分のアタマで考えず、すぐにインターネットの質問サイトに投稿して答えを求めるのが日常の風景となり、大学入試の不正にも使われるご時世。日本人の多くが思考停止するのと同様、日本の組織も陥りがちな思考停止の罠、コンプライアンスの呪縛を、解くカギを得た思いがする。「著者渾身の書き下ろし」というオビの言葉は決して、大げさではない。
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By Utah
 ちょうど原発事故に対して適切なコメントを著者が述べている動画を見た後に読了。普遍的な社会や「なぜなのか」という根本的なアーキテクチャを見ずに、ムラの中の短期的な都合やトカゲの尻尾切りで済ませる日本の組織の伝統について、さまざまな例を挙げ、「自分の頭で考えようよ」と地道に提案してくれている本です。

小生の印象に残った点は以下です。
・「コンプライアンス」とは「法令遵守」のことではない。組織が社会の要請に応えることだ。
・なぜその法令があるのか?ということから根本的に問い、皆で話し合い、場合によっては法令の改正まで考える「ルールの創造」が必要。
・法令遵守は、保身に過ぎず、大事故が起こる元。
・現場で恒常的に法令違反が行われていると言うことは、構造的に法令が合わなくなっている可能性がある。郵便事件の場合は、価格が競争に合わなくなっていた。
・FD改竄の検事を証拠改竄で尻尾切りするのは間違い。第三者を入れた調査で、まず本当の原因を調査し、職権濫用で起訴するのが検察の信頼を取り戻す道だった。
・検察は、佐藤栄作の造船疑獄以来、法務大臣の指導を受けたり、情報開示したりすることの無い独善組織になった。民主党の大臣は、検察不正の調査に、元検事であり検察に批判的な筆者が入る契機を創ったことは、それ以来の快挙。
・原発に関しても、情報公開が足りず、思考停止が起きている。

 理学部(地質)の出身で、独学で検察官になり、検察のやり方に異論を持って辞して様々な活動をしている筆者の提案は、控えめ過ぎてやや物足りない感じがします。もっと強く、主張して欲しいなと思いました。
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郷原信郎『組織の思考が止まるとき 「法令遵守」から「ルールの創造」へ』(毎日新聞社、2011年2月26日)は日本の組織のクライシス(危機)の現場を検証した書籍である。扱う事例は検察の証拠改竄事件やトヨタのプリウスリコール問題、原子力発電所の点検漏れなど幅広い。ここでも単に法令の遵守に終始することなく、社会からの要請に応えることこそがコンプライアンスの本旨と主張する。

残念なことに法令を遵守しさえすればいいという誤った形式的なコンプライアンス精神は企業だけの問題ではない。行政にも根強い。行政には法令通りにやっていることを根拠に国民からの疑問の声を封殺する姿勢がある。
たとえば除染による放射性物質の拡散の問題を指摘した市民団体・市民が求め創るマニフェストの会の公開質問状に対し、古川道郎・川俣町長は以下のように答えた。

「除染後の放射性物質の収集については、環境省が発行している『除染関係ガイドライン』および福島県が発行している『除染業務に係る技術指針』に基づき収集します。また、その保管については、前述の『除染関係ガイドライン』に従い川俣町の地勢・地形に適した仮置き場を設置します」(林田力「古川道郎・川俣町長が除染についての公開質問状に回答」PJニュース2012年3月5日)

除染の危険性に対する疑問には答えず、環境省や福島県の基準に従っているから問題ないという姿勢である。この種の姿勢は究極的には「お上が決めたものであるから、臣民は黙って従え」という姿勢につながる。この種の姿勢は新種の公害被害に無力である。「法令がないから被害が出ても仕方がない」という姿勢では憲法が生存権などの人権を保障している意味がない。

その中で二子玉川ライズ住民訴訟を和解的解決で終結した保坂展人・世田谷区長の姿勢は注目に値する。二子玉川では再開発による住環境破壊が大きな問題になっているが、保坂区長は「再開発区域周辺の環境影響に対しましては、区としても環境に十分留意して、法令に基づく環境影響評価の手続きに則った適切な対応はもとより、きめ細やかな対応を事業者に求めてまいります」と陳述した。
ここでは「法令に基づく環境影響評価の手続きに則った適切な対応はもとより」と法令以上の「きめ細やかな対応」を求めることを宣言する(林田力「二子玉川再開発住民訴訟終結で公害行政から一歩踏み出した保坂世田谷区政」PJニュース2012年3月19日)。

法令遵守はもとより、それ以上の対応を追及することが実質的なコンプライアンスになる。
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