菊澤研宗著『命令違反が組織を伸ばす』光文社新書 2007年
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24 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
着眼点は良い。しかしながら学説書としての限界を感じる。,
By 江田島平八 (サンフランシスコ) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 組織の不条理―なぜ企業は日本陸軍の轍を踏みつづけるのか (単行本)
本書は、インパール作戦・ガダルカナル戦など従来「不可解・不条理・反倫理」とされてきた旧日本軍の行動を、新制度派経済学に基づく組織論で読み解くことにより、これらが人間の合理的な意思決定の上で生じた「誤謬」であり、同様の事例は現在の日本企業でも十分に生じうる(事実生じている事例も多数紹介)危険性を孕んでいると示唆する。旧日本軍、ソニー、トヨタ、拓銀等々といった非常にポピュラーな組織に焦点を当てたことにより、現代の組織論・経営論的思考を広く社会に浸透させ得る点で、本書の価値は大いに認められる。 しかしながら、本書の大部分が旧日本軍の行動を綴った事実紹介に割かれ、コスト理論・エージェント理論・囚人のジレンマ等といった制度分析ツールの掘り下げたapplicationが十分になされておらず、結果として旧日本軍の行動が「新制度派経済理論の上では」合理的であったと確信させるところには至らなかった。 また、最終章ではこうした「合理性に基づく非条理」を回避するための処方箋として、「批判的精神の涵養・実践」「漸次変革の実施」を提言する。事実、社内批判を取り入れることで成功した企業も多いし、何より現代サラリーマンの耳に非常に心地よい提言だろう。しかしながらこの結論には折角の前半での分析が全く生かされていない。今村中将は将校・下士官の批判を聞いたから成功したのか?牟田口中将は部下からの散々な批判を受けたが、失敗した。内部批判が尽くされた上で合理的な判断がなされたとしても、不条理は生じ得る。敢えて新制度派理論に沿って解決策を挙げるとするならば、組織変革による取引コストの低減と情報拡大による合理的判断の確保であると思われるが、この点についての説明はなされていない。まるで「要は経営者の心構えだ」と説く本書の態度に、組織論の学説書としての限界を感じる。
11 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
あらゆる組織人の必読本,
By カスタマー
レビュー対象商品: 組織の不条理―なぜ企業は日本陸軍の轍を踏みつづけるのか (単行本)
一般に、勤勉かつ優秀な人材を集め、最高の教育を施し、考え得るもっとも合理的な行動をとれば、どんな組織でもその分野で勝者となりうる。これが一見真理のように見えることを否定する人はいないだろう。しかし、現実は必ずしもそうではない。それは、恐らく組織人として生活した経験のある人ならば思い当たる例が身近にも存在しているはずである。では、なぜそうなるのか? この問題に対し、最新の経営学理論を用い、かつて日本で屈指の「優秀を指向した組織」であったにもかかわらず無残な敗北を喫した日本陸軍を分析することで一つの妥当性のある解答を示したのが、菊沢氏の本書である。 かつて日本陸軍がその幹部候補にきわめて充実した教育を行ったことはよく知られている。にもかかわらず、なぜ太平洋戦線で緒戦はともかく、あれだけの敗戦を重ねたのか?「補給軽視」「特定戦術に固執」今までの戦史書の常套文句である。しかし、もともと優秀な上に充実した教育を受けた参謀達がなぜ同じ失敗を繰り返さざるをえなかったのか?本書の斬新さは、これを経営学理論から説明したことにある。 本書の斬新さはもう一つ、人間とは不合理性を必ず有した存在である、という前提に立っていることである。今までのこうした類書は、意思決定をする人間は、完全に合理的に行動しているという前提で、どのようにかつて振る舞い、また振舞うべきか、と論じてきた。本書では、それが時には組織を滅ぼすことがありうることを証明している。 これら以外にも、新たな驚きが本書には満ちている。 結局、組織とは何か。その中での戦略、意思決定はいかにあるべきか。伝統的な戦略本における解答では満足できない人は、本書により新たな考える視点を得る事ができるだろう。
10 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
華やかさは無くても、地に足の着いた良書,
By 六等星 (神奈川県川崎市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 組織の不条理―なぜ企業は日本陸軍の轍を踏みつづけるのか (単行本)
人間は限定合理的であり、その限定合理的な人間の集団であるいかなる組織も、限定合理的である。そして条件さえそろえば、組織は合理的に非効率な手段を選び、やがて破綻していく。題材は大東亜戦争で敗退した日本軍であるが、今日のどんな組織にも当てはまる、鋭い指摘である。本書では、人間と組織の限定合理性を認め、常に批判を受け入れる「開かれた組織」を構築することを、その解決策として主張している。セオリーとしての組織論は理解できても、実際の組織が不条理に陥らない方法を見出すことのできる組織経営者は少数派であろう。多くの経営者が、このメカニズムを研究し、具現化することを切に望む。華やかさは無いが、地に足の着いた良書である。
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5つ星のうち 1.0
学者の不条理・・・
ガダルカナル戦について読んでみた。 白兵突撃を繰り返す不条理は、おっしゃる通りかもしれない。... 続きを読む
投稿日: 2002/8/18 投稿者: 純ちゃん
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