青春モノはほとんど読まないのに、某週刊誌で見た書評に引かれて読んでみました。
あまり期待していなかったのですが、
平易できれいな文章、飽きさせないストーリー、巧みな心理描写など質の高い小説でした。
4連作のうち、2つ目の「甘夏」がマイベストでした。
自分の行動に嫌悪感を持った女子高生が
不意にひらめき、思わず鞄を抱きしめて、ある行動に出ようとするところはグッときます。
ここだけでも読んで良かったなあと思えました。
ストーリーに合わせて、装丁に制服姿の女の子が描かれてます。
学園モノ、しかも女子高モノなので私のような中年サラリーマンには読んでもらいにくいかもしれませんが、
私が強く思ったのは女子高も会社も人間模様は同じではないかということです。
社員がグループ分けされて、他者を見下したり、他者に卑屈になったり。
ある出来事をきっかけに他者に対する態度をゴロリと変えたり。
それだけに、不意にひらめき、思わず鞄を抱きしめて、嫌な自分から脱する気になる瞬間がとても貴重なのです。
女子高生の場合はそこが「一つ成長する瞬間」、オッサンなら「吹っ切れる瞬間」と呼ぶのでしょうか。
いやオッサンでも自分をしっかり見つめて、成長することができるのかもしれません。
私は読みながら、自分のサラリーマン生活を思い起こさずにはいられなかったです。
ただ、連作の最後の「オイスターベイビー」には疑問を持ちました。
ここでパパが有名カメラマンの女子高生が、大学生として再登場し主役になったのはいかがなものでしょう。
この娘は狂言回しだと思ってたからです。
それよりも、この娘の日記を盗んで友人を失う女子にもう一度主役となって登場してほしかった。
「終点のあの子」というタイトルが成立しなくなるかもしれませんが、
日記を盗んで罰せられた女子にも、成長する瞬間を与えてやってほしかったですね。
まったく知らない作家でしたが、柚木さんには今後も頑張ってほしいです。