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終戦のローレライ 上
 
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終戦のローレライ 上 [単行本]

福井 晴敏
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (51件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

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   数々の文学賞を受賞し話題となった、前作『亡国のイージス』から3年。再び大海原を舞台とした骨太な海洋冒険小説が誕生した。本文は2段組、上下巻あわせて1000ページを超える大作である。

   第2次大戦末期、主人公の海軍新兵・折笠征人は、未だ知らされぬ任務のため親友の清永と広島の呉軍港に降り立つ。そこでは、1隻の潜水艦が彼らを待っていた。その潜水艦こそは、戦争の形態を根本から変えてしまうという秘密兵器「ローレライ」を搭載していたドイツ軍のUボートだった。しかし、日本に到着する前、アメリカ軍の執拗な追撃のために「ローレライ」はやむなく日本近海に投棄されてしまっていた。折笠たちに与えられた極秘任務とは、それを回収することにあった。それを阻止せんとするアメリカ軍とのあいだで苛烈な戦闘が繰り広げられる。そして、その秘密兵器を日本の終戦工作に使おうとする陰謀が、密かに進行していた。

   著者は、彼らの生死をかけた生き様や心理描写を通して、国家や民族について、また、日本人とは何なのか、そしてあの戦争は何だったのかを、前作同様読者に問いかけ続ける。重いテーマを背負い込んでいる作品だが、読み手があまり負担に感じないのは、物語がエンターテイメント性を失わないからであろう。

   ここで描かれているのは過去の時代である。しかし問われていることは、いま日本という国に生きているわれわれ自身が直面している問題である。そういう意味で、この小説は「現代小説」といえるだろう。2003年度吉川英治文学新人賞受賞。(文月 達)

商品の説明

第24回(2003年) 吉川英治文学新人賞受賞

登録情報

  • 単行本: 462ページ
  • 出版社: 講談社 (2002/12/10)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 406211528X
  • ISBN-13: 978-4062115285
  • 発売日: 2002/12/10
  • 商品の寸法: 19 x 13.2 x 3.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (51件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 61,388位 (本のベストセラーを見る)
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5つ星のうち 5.0 すばらしい作品にであえた喜び, 2003/5/8
レビュー対象商品: 終戦のローレライ 上 (単行本)
「亡国のイージス」で、日本推理作家協会賞・日本冒険小説協会大賞・大藪春彦賞を受賞した作家の最新作である。

本作品をまだ読んでいない方のためにあえてジャンルを分けると、「女王陛下のユリシーズ号」に代表される、「海洋冒険小説」というのが一番近いだろうか?(異論もあると思うが・・・)。しかし、戦争の意味を我々に問いかけ、閉塞した現代社会へエールを送る本作品は、そのジャンルにとどまることのない大作である。

1945年8月、終戦を間近に控えた日本では、未だにあるべき終戦の形が見えないでいた。その中で、ドイツが開発した秘密兵器「ローレライ」の存在が明らかとなり、一足早く敗戦したドイツから、「ローレライ」が極秘裏に日本に運ばれることとなる。上巻では、「ローレライ」の秘密が明らかにされるところまでが描かれている。

本編中で主人公・折笠征人の叫ぶ、「戦争だからって、なんでも許されるわけじゃないでしょう」ということが、本作品のメインテーマのひとつであろう。

先に書いた「亡国のイージス」だが、私にとっては文章を読みづらく感じ、世間の評判ほど面白いとは思わなかった。しかしながら、私と同様の感想を持った方も、心配することなく是非購入して頂きたい。最初の51ページ(序章)は、前作同様若干読みがたいが、ここをすぎるとあとは本を置くことが困難になる。(ただし一晩くらいの徹夜では読み終わらないと思うが・・・)
本作品は、とりあえず、第24回吉川英治文学賞を受賞した。個人的には直木賞の有力候補作と思っている。もちろん、現時点で私にとって今年のベストである。
このような素晴らしい作品に出会えるから、読書はやめられない。久しぶりに読書の喜びを実感できた作品であった。

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19 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0 行間を読ませてくれれば, 2005/3/16
レビュー対象商品: 終戦のローレライ 上 (単行本)
~潜水艦を舞台とする堅気な海戦小説と思って読み始め、圧倒的な文章力に押されて引き込まれていったのは2巻の途中まで、ローレライシステムの全貌が明らかにされたところで一気に熱が冷める。そりゃねーよ、視覚を遮断されたところに潜水艦の魅力があるのに、百歩譲って出来たとしてもそんなからくりはやめて欲しい、というのが正直な感想。もう読むのやめよう~~かなとふと思いながらそれでも読み続けることを推したのは筆者の潜水艦に対する情熱がほとばしる機器操行の描写と書いてなお足らない癖の強いキャラクター達の心理描写。特に後者についてはこの小説の大半を占めるんじゃないかと思わせるボリュームと気迫がある。でもキツイのは3巻、4巻と読み進むにつれてこれが仇となり、くどくなってしまったこと、要するに~~行間がない。印象に残る小説って風景、展開、セリフ、表情、感情のバランスが絶妙で読む人に頭の中でストーリーを色づける余地が残されてるのに、この小説にはその隙間がないどころか贅肉がつき過ぎてしまった感じがあり、漏れなく断固たる意志を持つ登場人物の感情と言うよりむしろ妄想の洪水を押し付けられているようで疲れる。

南洋諸島戦線で餓鬼と化~~した人間の本性、身の丈を知らず意味のない死を美化し戦争の大儀さえろくに持たなかった軍部の本質を今という視点、小説という切り口で迫った部分の迫力は凄まじく、著者の研究心と表現力は純粋に尊敬できる。もう少しシェイプアップして、空想科学的な素材を落とせば万人受けしそうなのに。~

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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 異色の架空戦記, 2004/6/27
レビュー対象商品: 終戦のローレライ 上 (単行本)
第二次大戦末期、連合国から“シーゴースト”と恐れられた謎の巨大潜水艦。そこに搭載されていた乗員さえ正体を知らない謎のシステム「ローレライ」。日本海軍はその潜水艦を入手して『伊507』と名付け、海戦のどさくさに投棄されたローレライ・システムを回収するために改めて出撃させるが、集まってきた軍人達は皆半端者ぞろいで……と書くと、良くあるトンデモ海洋戦記物にも見える。
だがそうなっていないのは、『伊507』に関わる人々が皆何らかの“闇”を抱えているからだろう。華々しく豪快な『伊507』の戦闘と、自らの中の闇に苦しむ人々、このふたつが交互に描かれ、影響を与えながらひとつの結末へと向かっていく。これがこの物語をただの架空戦記にとどまらない、息詰まるような人間ドラマに仕上げている。

惜しむらくは、物語の流れから完全にはずれた上に、いきなり説教くさい響きが漂う終章がやや蛇足気味に見えることであろうか。だがそれを差し引いても、決して損はしない面白さを持つ作品だと言えるだろう。

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