本書は在宅医療に取り組む医療関係者のインタビュー集です。
編者の羽田さんは映画監督で、この間介護や福祉に関わるドキュメンタリーを作ってきました。今回、同名の『終わりよければすべてよし』という緩和ケアやターミナルケアの映画を作ったことをきっかけに勉強会を行い、本書はその内容を編集したものです。東京で1981年に日本で初めて在宅医療を提供したライフケアシステムや、栃木で在宅療養支援診療所を運営するアスムス、岐阜県で特養での終末期ケアを行うサンビレッジ新生苑などの先駆的な実践や、そこで働く医師の思想、地方自治体の首長や国としての考え方など、幅広く事例・意見が当事者の言葉で綴られています。全体的に患者の生活全体を含めた医療をしたいという思いと、それを阻んでいる医療教育の現状(カリキュラム、予算配置)や、「死」に対して面と向き合わない日本社会の姿勢が浮き彫りにされています。
それに対して、医師育成や介護職員の予算の増加、医師の地域間・診療科目間の偏在の解消、在宅支援診療所の増加と医療機関の集中と機能分化、輪番制で医師が夜の時間帯に勤務する医療センターなど、現実的な対応策も提起されています。
従来、福祉や在宅生活支援というと介護の側面にだけ光が当てられがちでしたが、本書では一番腰の重かった医師や医療に焦点を当て、問題提起と解決を考えています。これらの事例や問題提起から学び、これから問題解決に向かって社会全体で取り組むことになるでしょう。後半な国民に向けた問題提起の書です。映画と合わせて読むと尚いいと思います。