谷崎は文章がとても綺麗です。
細雪の文章で特徴的なのは会話の表現の仕方です。
は人の会話なども直接話法的に鍵括弧「」を用いているところもあれば、
〜、と言っていた、など鍵括弧を用いずに間接話法というかたちで人の話を引用しているところもある。
「」を用いているところは登場人物たちが実際に会話しているとき、
用いていないところは過去の会話や過去に聞いた話などを思い出してあれこれ考えているときや人の話を引用するときです。
蒔岡家の4姉妹を見ていると、
世間に対する顔向けや人付き合いで相手の顔を立てたり、
登場人物それぞれの思惑が複雑に絡み合っていて、
相手がどう思っているのだろうとか自分は人にどう思われるだろうとかを考えるあまり、
かえってコミュニケーション不足になっているようなところもあるんだなと思いました。
阿吽の呼吸を期待して後から実は勘違や誤解だと分かってショックを受けることもある。
幸子は雪子のお見合い相手探しに一生懸命になっていて、
妙子の素行については疑っていなかったけれども、
実は結構横暴なことをやっていたことが分かるというように、
世間体を気にしすぎて気持ちが伝わっていないから、
逆に変な方向にいってしまったということかもしれません。
その一方で後半しっかりしてくるのは雪子で、
はじめは気が弱くてお見合いのときに何か聞かれても
「はあ」というとぼけた返事しか出来なかった雪子が、
最後のほうでは、
妙子が交際している男性について自分で色々観察したり調べたりして妙子に詰め寄ったりして、
蒔岡家が落ち着くかな?というところで話が終わっているのがいいと思いました。