研究室で誰も知らないことを私に教えてくれる本です。ベストセラーに釣られて読んだら何だか趣旨の釈然としないエッセイだったりする迷作?が少なくない昨今,本書は細胞に関する研究史を極めてわかりやすく表しておりその具体的記述に富んでいます。歴史的な偶然のひらめきに纏わるserendipityにとどまらないありのままともいえる描写が多いのも魅力的です。著名な研究者に直接interviewする頻度がこれほど高い本が他にあるでしょうか?さらに,一次資料(原著論文)に基づいた記載に関しても学術性が高いといえますが,わかりやすい文体と随所にあるしゃれたイラストが本書をいたずらに難しくせず,なかなかに親しみ深いものにしています。本のサイズも持ち運びに手ごろで体裁も気が利いており,研究者のみならず生物に興味のある幅広い読者層にとって価値ある良書です。