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戦闘機といえば「ゼロ戦」や「隼」ぐらいしか知らなかった当時のわが国の少年たちに、「紫電改」とよばれる旧海軍の局地戦闘機の存在を知らしめたのがこの作品ではなかったかと思う。
この作品は、いわゆる「反戦」漫画のカテゴリーに入るようなものではないが、戦争という異常事態のなかで生き、苦悩し、死んでいった日米の若者たちへのレクイエム(鎮魂曲)的作品と呼べよう。
初出から40年近く過ぎた今日でも、主人公の滝城太郎や久保一飛曹、紺野一飛曹、花田上飛曹さらにはモスキトンらの顔がすぐに思い出せるほどに感動的な作品であった。
今や50歳の峠を越えた当時の少年たちには「懐かしさ」と共に是非再読していただきたい。また、現在の青少年たちにも「戦争」について考えるための一助として是非の一読を薦める。
なお、本作品につづいて世に出た「あしたのジョー」において、滝はジョーへ、花田は力石のキャラクターへと発展して行く。
戦争を扱っていながら、作戦や戦闘シーンをリアルに精緻に技巧的に描くことにはそれほど力が注がれておらず、むしろ、それらは主人公滝城太郎を中心とした登場人物の心や思いを活写する上での道具であり背景として明確に位置付けられている。一貫して描かれ語られているのは心の苦闘であり、育った国や故郷を思い、家族や同胞をいたわる心、生きるために守るために戦い傷つく心、それも若く純粋な心である。 かっこいい戦闘機同士のぶつかり合いではなく、緊迫した状況における人と人との激しいぶつかり合いが生々しく表現されているところに、読者を引きつけずにはおかぬ独特の迫力があると言えよう。
最終部分がやや急ぎすぎの感もあるが、或いはそれは、当時、作者も筆を走らせ追体験する中で主人公と共に悩み力を出し尽くした証し、と言えるのかもしれない。 こうした漫画を通じて、自分の国や家族、自分にとって心底大切なものを見つめなおすことも、時には必要ではないだろうか。
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