なでしこジャパンのワールドカップ優勝に関連した本は
巷にたくさん出ているが、大抵の本は
執筆者が「自分がなでしこの選手たちとどれぐらい懇意にしているか」
「他のライターと違って、自分がどれほどなでしこジャパンに近い存在か」を
アピールしたいがためのような本ばかり。
正直、読んでいても、選手のことよりも、
書いている人間の「こういうことを書く自分はすごいでしょ?」という
いやらしい気持ちが読み取れて、うんざりすることが多かった。
サッカーの男子代表が結果を出し始めた頃も
同じように「いかに自分は有名選手と仲が良いか」
「個人的に知っているからこそ書けるんだぞ」といった
執筆者の自己満足的な本が氾濫していたのを思い出す。
しかし、この『紡』は15年以上もの長い間、
なでしこジャパンにずっと寄り添っていた
オフィシャルフォトグラファーの早草さんの
そういった「自慢げ」な内容がまったく出てこない。
どのインタビューも選手の視点から真っ直ぐに描かれていて、
いうなれば、早草さんは陰の存在に徹している。
選手たちが苦しい時、そして辛い時、
一番そばでシャッターを切りながら、
黙って彼女たちを応援していた
早草さんならではのインタビュー本になっているのではないだろうか。
選手1人1人にカラーセラピー(?)で色を振り当てて、
その色にまつわる解説が記載されているのも
ほかの本とは一味違った趣向で面白かった。
カラーセラピーとは、たぶん占いとは違うものなのだろうが、
選手それぞれの個性がその色と言葉に表現されているようで、
興味深く読むことができた。
今回は過去の2冊(「あすなろなでしこ」「なでしこの教え」)と違って、
掲載されている写真点数は少ないが、
その分、非常に読み応えのある一冊になっている。
また、なでしこの選手たちから、これからなでしこジャパンを目指す
少女たちへ向けて、プラスとなるメッセージが
たくさん散りばめられていた。
夢を追う女の子たちに一読してもらいたい本だと思った。