書いてあることは「素人の乱」の成立から今日に至るまでの活動を綴ったルポタージュ。
べつにわざわざ綴るほどのこともない内容だが、どうやら昨今は貧乏人は貧乏人同士で金をサイクルさせるのが流行らしい。私などはそれこそ「崇高な理念に基づいて」、富裕層に訴える文章で富裕層にこそ購買を促すのが筋だと思うのだが、彼らはなぜか同じ目線の人間を商売相手にする。
河出書房新社もなにを考えているのか分からないが、本書もやはり誰得な本なのだ。的確な表現を探るとすれば「素人の乱」の「履歴書」である。別に、読んでなにかを得られるわけでもないし、明日から貧乏生活を脱出するためのモチベーションにつながるわけでもない。言ってみれば一円も生まない本である。それに1,680円の値段が付いている。つまりはこれも彼らの経済活動なのである。彼らの根底には常にこのスピリッツが根ざしている。
「失うものがないんだから、イケイケドンドンやっちまえ」
だからといって無政府主義を貫くわけでもなく、自分は杉並区議選などに立候補してちゃっかり現行制度の中でのエリートを夢見ていたりする。つまりはノンポリだけど自分本位な出世欲丸出しな若者なのだ。言葉で言うと酷く聞こえるが、これは著者に限らず貧乏にあえぐ現代の若者共通のスピリッツ・感覚なのかもしれない。
一見連携して仲良さそうに見える集団。しかし実は個々が利己的な射幸心を抱いている・・・まるでライブドアの崩壊劇のときの宮本氏と堀江氏を見ているようである。
(レビュアー:池谷)