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どんなにすばらしい思想であっても,すべての人がそれを受け入れるのは不可能であり,対立を避けることはできない。日常的な生活の中においても,家族,友人,恋人との間で対立は起こってくる。その対立から逃げて,自らの考えだけを相手に押し付けようとしたときに,テロリズムが生まれてくるのである。本書においてテロリズムとは,いわゆるテロ行為によって社会に打撃を与えるような狭義のテロリズムではなく,日常的人間関係の中でも生まれうるものとして広く捉えている。読者は日常的な対立の中に,命を脅かすような強大なテロリズムを生み出す種があることに気づかされてハッとさせられるであろう。
そして,本書が提案する,対立が起こってきたときに逃げるのではなく,その渦中にじっととどまり,対話をすることである。本書はそのためにどのような態度を人が育めばよいのかのヒントを示してくれるし,読者は自らの対人関係の作り方により自覚的であることを求められる。
よりよい社会を作る上で最も重要なのは,優れた社会的・政治的思想によってシステムをコントロールをすることではない。真に重要なことは,人がどんな考え方をしていようと,常に対話が可能な余地を残しておくことであり,真に危険な思想は対話を不可能にするようなものであろう。対話さえ可能であるならば,異なった考えを持った人々が共存することが可能になるのである。
本書は,ある人にとっては読みやすいものではないかもしれない。それは筆者が使用する語彙が独特のものであるからだ。しかし,あきらめず時間をかけて読んで欲しい。表面的な印象に惑わされず,著者のメッセージを読み取る努力をして欲しいと思う。
私事では、僕は、パートナーシップ関係という、一番日常の異文化交流の対立克服に、非常に役立ちました。この本がなければ、一番の危機を乗り越えられなかったでしょう。「紛争、対立の炎に身を置く」という彼のあり方は、実践に裏付けられ、説得力があります。
オススメの一冊です。
しかし、現代に存在する自己の内面からの苦しみ・人間関係の苦しみからの解放を求める人には啓蒙書としていい本です。ワークの実例を紹介しながら、ときにそのワークの指導者もワークを必要としている人々と共に苦しみ、また喜ぶ姿が垣間見える。今実際に問題を抱えている人に「上から諭す」本ではなくて「共に歩いている」本として評価できると思います。
心理学の学問書とかカウンセリングの指導書とは趣を異にするため、それを期待する方は別の書籍を探す方がよいかも知れません。
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