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85 人中、78人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
物凄い労作,
By 2aa (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 純粋理性批判〈1〉 (光文社古典新訳文庫) (文庫)
この中山元による新訳は全部で七巻になるので今までに刊行されている『純粋理性批判』の翻訳に比べると非常に巻数が多いのですが、その理由はせこい出版社がよくやるような、行間を大きく開けて文字をでかくしてページ数を水増しして小銭を稼ごうという悪徳商法をしているのでは勿論なくて、巻末に書かれている解説が非常に多く、かつ充実しているからです。翻訳の良し悪しを判断する能力は僕にはありませんのでそこには触れませんが、この本の素晴らしさは翻訳よりもむしろ中山元による解説にあると僕は思っています。というのも、僕のような初学者ではいくら訳が読みやすくなってもこのような大著は論理的な難しさのせいでどうしても途中でわからなくなってしまい、最後まで読みきれずに投げ出してしまうことが多かったのですが、この翻訳者は何と一段落ごとにカントの述べていることを要約してそこに注釈をし、かつ何の前知識もない人間でもわかるように噛み砕いて説明し直してくれているのです。 つまり、この本は『純粋理性批判』の最後に詳細な入門書がセットでついているようなものなのですが、一段落ごとに追ってくれているので本文を読んでからその解説を読み、また本文に戻るという読み方が可能になり非常に緻密にカントの論理を追うことが可能になっています。このようなスタイルの翻訳は今までに中山元以外はやっていなかったように思えますが、初学者がゼロから理解できるように工夫がなされているという一点だけを考えてもこの翻訳は素晴らしいと言えるでしょう。 仮に今後このスタイルの新訳が増えるとするならば哲学を学ぶための敷居はかなり低くなるでしょうし、そうなってくれたら僕も嬉しいのですが、翻訳者の仕事量の多さを考えるとそこまで期待するのはわがままが過ぎるのでしょうか? しかしこの中山元による翻訳を読むと、それを期待したくなってしまいます。
19 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
読みやすいけど、カントはやっぱり難しい,
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レビュー対象商品: 純粋理性批判〈1〉 (光文社古典新訳文庫) (文庫)
サンデル教授の講義に感銘を受け、こちらに移動してきた一人です。覚悟はしていて、最初から日数をかけて小分けにして読むつもりでしたし、 実際そうしました。 評判通り。 日本語で書かれた本としてほぼ自然に読める、読みやすい本です。 注釈はもちろん、主語や目的語や修飾語が[カッコ]で丁寧に補足されている。 ただし、少なくとも本文については、 「読みやすい=わかりやすい」ではない、 ということも、よくわかりました。 そこで、解説登場。 これが詳しい。 本文を読んだ後にこちらを読むと、後光がさして見えます(笑)。 結果として、本文と解説の両方を読むことで、 確かになんとなくわかった気にはなれます。 しかし、勢いでまとめて三冊買ってしまったのだけれど、 いつ読もうかな、残りの二冊。。。
73 人中、59人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
名訳の功罪,
By chaa chaa fish (埼玉県熊谷市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 純粋理性批判〈1〉 (光文社古典新訳文庫) (文庫)
まだ読み始めだが、期待以上の素晴らしさ。だが冷静になると、僭越だが「功」と「罪」があるように思う。功。カントの思考を泳げる(!!!)。これまで独英日4種の『純粋理性批判』を拾い読みしたが、淀みなく読み進むことができ、カントの思考を泳げる(再び!!!)というのは、単なる「読書」を超えて、忘れ得ぬ「体験」と呼びたい。これはまさに、専門用語を廃して訳した訳者の努力と力量の賜物であり、光文社古典新訳文庫の面目躍如といえる。 訳者の補足がカッコに入れられているが、読書の邪魔にならない。それどころか、カントの思考をよりヴィヴィッドに浮かび上がらせる適切な言い換えであり、実に読んでいて心地よい。 罪。あまりに素晴らしいので、かつて何度となく読み返した「第一版序文」を新訳で読んだところ、何かが足りない。つまり簡単に訳すということは、ある種の言外の含みを切り捨てることを余儀なくされるのだ。この点において、岩波の篠田訳は、難解だが名訳だと思う。何度となく読み返すに値する美文なのだ。そういう意味で、本書によって「通読」の目標をかなえさせてもらい、並行して篠田訳や英訳、独語原文を併読し、カントの思考の襞に迫る努力をしたい。人類最高の頭脳が書いた人類最高の書、そうまで苦労して、その思考の息遣いに迫るだけの価値はある。 翻訳を読む、ということは、自分で考え・悩む代わりに、他の人が考え・悩んだものの恩恵を受ける、ということなのだ。ニーチェのように「全ての翻訳は嘘である」とまで言わないが、分かり易い訳であればあるほど、それを読む者は、価値ある労苦を経験させてもらえない、という不幸に見舞われることになる。
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