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紅蓮の女王―小説 推古女帝 (中公文庫)
 
 

紅蓮の女王―小説 推古女帝 (中公文庫) [文庫]

黒岩 重吾
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

暗雲はらむ古代日本。大王家をめぐって権謀が渦まくなか、絶世の美貌の身を恋の激情にゆだねる炊屋姫。そして、強敵物部氏を滅亡に追いつめてゆく、冷徹な政治家蘇我馬子。二人の像を中心に、推古女帝即位にいたる激動の古代を彩る人間ドラマを鮮かに描いた、壮大な歴史小説。

登録情報

  • 文庫: 301ページ
  • 出版社: 中央公論社; 改版 (1995/08)
  • ISBN-10: 4122023882
  • ISBN-13: 978-4122023888
  • 発売日: 1995/08
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 青頭倶楽部 トップ50レビュアー
形式:文庫
70年代までは多作のハードボイルド作家であった黒岩重吾が、古代史を描く歴史作家に
移行する端緒のひとつとなったのが78年出版の本作だ。その後は30作にわたる古代史
ものを手がけることになる。長編が多い黒岩の古代史小説だが、本作はそれほどの
分量もなく、すぐ読み終えた。物語は585年から592年頃まで、主人公の炊屋姫(推古天皇)の
夫・敏達帝崩御から、彼女の即位までで終わる。筋書きの核は炊屋姫と宮の警護隊長
三輪君逆との恋愛関係。身分違いの恋はやがて悲劇を迎え、彼女は復讐の鬼と化す。
もちろん炊屋姫と三輪逆がそんな関係にあったと史書にあるわけではないが、
分かってないことが多い古代史だからこそ、作家も想像の羽を伸ばせるのかもしれない。
また策略家・蘇我馬子の腹黒さと権力掌握術には、つくづく脱帽。というか恐ろしい。

巻末には本作を巡って黒岩と評論家の尾崎秀樹による対談が収録されている。
黒岩の古代史物のファンは私のほかにも多いと思うが、彼のユニークな古代史解釈が
ここで表明されている。「蘇我氏は百済王族ににつながる氏族」「継体以降は新王朝」と
いった黒岩史観が語られる。彼がなぜ古代史に惹かれるのか、また本作の執筆に至る
動機なども知ることができる。黒岩ファンなら押さえておきたい対談だ。
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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
推古女帝が即位するいきさつ、それを裏で操り、さりげなく勢力を増している蘇我馬子。政治家としての馬子の活躍と、推古女帝の激しい愛情を描いた作品。面白かったですよ
このレビューは参考になりましたか?
形式:文庫|Amazonが確認した購入
この小説の主人公は炊屋姫と叔父の蘇我馬子。

「色白の美貌、引き締まり冴え切った」顔つきの姫は、夫・敏達帝の没後忠実な警備隊長と恋に落ち身をこがす。が、かねてより姫に野心を抱いていた異母兄・穴穂部皇子の手にかかり愛人は殺害される。中年にさしかかった女の恋は激しく、それだけに殺害者穴穂部とその協力者・物部守屋に対する姫の怨念は深い。

ここに、蘇我氏を率いる叔父の馬子がいる。父稲目の遺志ー仏教導入により「天と日」を祭る大王家の神格を下落・相対化させ、物部氏(軍事・警察・宗教司祭を握る)を始めとする大王家の群臣を圧倒するーを受け継いで蘇我氏による実権確立を目指す野心家である。彼は姪の意向に沿い、あるいはこれを利用して、穴穂部はじめ複数のライバル皇子達を殺害・排除し、遂に姫の実兄、即ち自分の甥を敏達帝の後継者に据えることに成功する(用明帝)。かくて稲目は天皇の外戚となる。

ここまでの経緯はよく知られたことで、小説に描かれる美貌の後家の「紅蓮の恋」と怨念、それを利用しながらの馬子の権謀術策については特に新味はなかったが、黒岩氏の視線はむしろ、この後の<姫の変身>に注がれているようである。

あれ程憎んだ穴穂部も物部守屋もいなくなった今、仏前に坐した姫は言いようのない虚ろな思いにとらわれる。傍らに坐すのは幼い厩戸皇子(聖徳太子)。14歳で対守屋戦に従軍し、戦いのすさまじさを目撃し傷心を抱いている。二人には何か心通うものがある。そこへ物部を滅ぼし、用明の後継者・崇峻帝をも謀殺した自信満々の馬子がやって来る。次の大王を決めるためだ。今や姫には自分を利用しつつ権力拡張を図った叔父の姿がよく見える。これまで最愛の竹田皇子を大王にと願ってきた姫ではあったが、権謀の渦中に幼い息子を投ずる意欲を失った彼女は、自分が大王になろうと決意する。「あの美しい飛鳥の都で、私は大王になるのです」

姫を大王にまつりあげ、厩戸皇子(用明帝の嫡長子、馬子のむすめ婿でもある)を皇太子に指名することが馬子の思惑であったからこの運びに満足する。だが今後も姫(今や推古帝)は馬子の言うなりになるのだろうか、厩戸皇子の心中に育ちつつある「厳しく清冽な人間的ロマン」が馬子の政治的権謀術策といつの日か衝突することはないのであろうか、それはこの後の作品聖徳太子―日と影の王子 (1) (文春文庫)斑鳩王の慟哭 (中公文庫)に委ねられる。
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