たかが茶の木、されど茶の木。
その昔、時はヴィクトリア朝。お茶は英国人の生活には欠かせないものとなっていた。
当時お茶の生産は中国が独占、英国はアヘンを中国に売ってお茶を買っていた。お茶の貿易はかつて東インド会社が独占していたがその地位も失い、数百年繁栄を続けた同社の運命は傾きつつあった。そこで、自らが支配するインドに茶の農園を開発して、独占を打破しようともくろんだ東インド会社は、一人の英国人植物学者フォーチュン氏を送り込む。中国語も話せず、中国に行ったこともなかったフォーチュンは、絹服に辮髪をつけて中国の高級官僚に変装し、危険にさらされながら中国の奥深く入り込み、伝説の茶の木や種、そして多くの珍しい植物を収集し盗み出す。彼が盗み出した種や苗は、まさに世界の茶の生産と供給を変え、現在のように世界中でお茶が飲まれるようになっただけでなく、英国の産業革命・経済的拡大を続けるにあたり重要な役目を果たす。
私達が毎日当たり前のように飲んでいるアッサムやダージリン、セイロン、ケニアといった紅茶や中国茶に、このような歴史があるとは、こんな陰謀と冒険譚があるとは。面白すぎます!学術書ではなく、一般向けに書かれた楽しい歴史本で、読みやすく、一気に読んでしまいました。お茶の愛好家だけでなく植物愛好家にもとても興味深い一冊だと思います。お薦めです。