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舞台は都、比類なき栄耀栄華を誇る賈(か)氏の館、寧国邸・栄国邸。その中に造園された、『大観園』なる広大無比かつ美麗極まりない庭園に、一族のうら若き美姫たちとその侍女たち、それから一族きっての変わり種で父親の頭痛の種たる美少年、賈宝玉が住まいを与えられたことから物語は始まる。
宝玉少年は「女児のからだは水でできているが、男児のからだは泥でできている」などと言ってはばからず、男子にしては華麗な衣服にその麗質をつつみ、日がな一日少女たちの守護役として『大観園』で詩作と少女たちとのおしゃべりに時を費やすというありさま。つまりは『大観園』というのは、砂糖菓子でできたような美しい少女たちの、この世の楽園なわけであります。
ところがこの麗しいパラダイスに連続して発生する、悲惨な殺人事件……。
何しろこれだけたくさんの美女と美少女が登場しながら、みんなそれぞれに個性的かつ魅力的というのがすごい。それから彼女たちが惜しげもなく殺されていくところがまた……ああ、もったいない。
ごひいきの美少女が殺されては「ぎゃっ」と叫びながら、キャラ萌えにはまるもよし、「公案」などという聞きなれぬ言葉に魅力を感じて、中華四千年の歴史に思いを馳せるもまたよし。トリック満載、不可能興味満載。本邦メタ・ミステリきっての痛快作です。
文藝春秋80周年記念出版、『本格ミステリ・マスターズ』の一冊。
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