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紅梅
 
 

紅梅 [単行本]

津村 節子
5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (12件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

2005年春、癌が発見され、膵臓全摘の手術を受けた吉村昭の、1年半後の壮絶な死までを、作家でもある妻が硬質で冷静な筆で作品化。

内容(「BOOK」データベースより)

二〇〇五年二月に舌癌の放射線治療を受けてから一年後、よもやの膵臓癌告知。全摘手術のあと、夫は「いい死に方はないかな」とつぶやくようになった。退院後は夫婦水入らずの平穏な日々が訪れるも、癌は転移し、夫は自らの死が近づいていることを強く意識する。一方で締め切りを抱え満足に看病ができない妻は、小説を書く女なんて最低だ、と自分を責める。そしてある晩自宅のベッドで、夫は突然思いもよらない行動を起こす―一年半にわたる吉村氏の闘病と死を、妻と作家両方の目から見つめ、全身全霊をこめて純文学に昇華させた衝撃作。

登録情報

  • 単行本: 176ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2011/7/26)
  • ISBN-10: 4163806806
  • ISBN-13: 978-4163806808
  • 発売日: 2011/7/26
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.6 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (12件のカスタマーレビュー)
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 今から5年前の夏に吉村昭さんが自らカテーテルを引き抜き壮絶な死を遂げた後に、遺作短編集「死顔」が出版され妻の津村節子さんが「後書きに代えて」を寄せた。吉村さんの舌癌の告知から死に至るまでの1年7ケ月の闘病生活とその間の執筆や死への準備を、淡々と10枚程度の文章に綴っている。本書は同じ1年7ケ月を扱っているが、その後の5年間の熟成を経て240枚の文学作品に仕上がっている。吉村さんを「夫」と呼び妻「育子」の視点から描いた私小説で、闘病の詳しい経緯のほか夫の日記やメモ、克明な遺書も加わり、折に触れ二人のこれまでの出来事がフラッシュバックのように回想されている。
 現役作家の育子は忙しい。自選作品集は刊行中だし雑誌連載の単行本化もあり、執筆の他に販促のサイン会もあって、地方紙の文学賞の選考委員等にも時間が取られる。加えて恩人や知人・親族の葬儀も飛び込んでくる。そんな生活の中での看病であり、充分な時間が取れず「物を書く女は最低の女房だ」と自らを責める。入院中の夫の日記に「育子、寝ているうちに帰る」とあったのを死後に知り、「目を覚ましたときどれほど淋しく思ったことだろう」と痛哭する場面は心に沁みる。
 また、夫も副作用の強い抗癌剤治療を続けながら作家として誠実に生きている。友人の単行本の帯にと依頼された100字ほどの文章のためにゲラで全編を読むし、遺作となった短編小説の推敲に最期の力を振り絞る。自分の病気を周囲の人に悟られないようにと細心の注意を計り、育子には「毎日病院に来なくて良い」「君は君の生活を大切に」と育子の短編小説の進み具合に気を配る。
 最終の20頁ほどは特に感動的だ。退院予定日を急遽早めて退院し、数日間だが自宅で寛いだ生活を送ったことに救われる思いがする。亡くなった日の朝には大好きだったコーヒとビールで口を湿し、その夜の最期の瞬間における育子の夫への呼びかけは強烈で意味深い。
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作家、吉村昭の一年半の闘病とその死を、妻で作家の津村節子が小説のかたちで語る。

吉村は舌ガンと診断され、治すには患部を切除するしかないと宣告される。若いころ結核を患い、わずかな局所麻酔で肋骨を五本切除して病巣を叩くという手術を受けていた。その彼をもってしても神経の過敏な舌まわりの痛みは激しい。

放射線治療、免疫機能向上のための治療へと希望を託すが、膵臓にもガンが見つかる。入退院を繰り返しながらも机に向かい、激痛のなかでも執筆を止めない吉村の姿には鬼気迫るものがある。知己の相次ぐ訃報。自らの死期を悟っての遺書。

最期の場面は、淡々とした叙述だが、かえってその重い事実がのしかかってくる。
読後には、ガン治療における選択肢、看護、延命をめぐる問題などに思いを巡らさざるを得ない。

吉村は弟をガンで亡くしており、その様子を『冷い夏、熱い夏』という小説で綴っている。こちらも読んでみたい。
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By hiroshi VINE™ メンバー
記録小説、歴史小説で独自の道を切り開いた吉村昭氏が亡くなって5年が過ぎた。吉村氏は私が敬愛する作家のひとりである。この作品は、妻であり作家である津村節子氏による吉村氏の最期1年7カ月の記録である。

見つかった舌癌を切除するのだが、次に膵臓癌が発見され吉村氏は次第に体力を失ってゆく。津村氏も作家として多忙な中を「作家である妻なんて最低」と自らを呪いながら看病にいそしむ。途中に夫婦のこれまでの歩みのフラッシュバック―大学の同人誌時代、6畳一間のアパート生活、無名時代の苦しい日々―が挟まれる。また、吉村氏の作品を仕上げるに際しての地を這うような資料の収集、調査の様子が回想される。彼の作品群にはこれほどの緻密な取材活動があったのかと驚いた。

治療の甲斐なく吉村氏は次第に衰弱し、長期戦に備えて自宅療養に切り替える。彼は重篤の病床にあっても書きかけの短編を推敲し、知人の書籍の推薦文を著すなど最後まで彼らしい姿勢を崩そうとしない。そして、いよいよ死期を悟った吉村氏は点滴を拒み、カテーテルを引き抜いて自ら尊厳死を選んだのである。

この作品には感情を抑えた研ぎ澄まされた文章で事実のみが簡潔に記されているが、それが逆に津村氏の押し殺した悲痛な叫びを伝えている。遺された者の慟哭がすぐれた文学に昇華した感銘深い作品である。2011年の日本文学を代表する1冊だと思う。
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投稿日: 2か月前 投稿者: ボーン・ウイナー
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投稿日: 4か月前 投稿者: あまでうす
吉村昭ファンにも是非読んでほしい1冊
 夫・吉村昭が亡くなってから5年。妻として作家として、吉村昭の闘病生活を見つめた作品。... 続きを読む
投稿日: 4か月前 投稿者: shunp
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不覚にも、最後数ページで、泣いてしまいました。
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