『紅塵』です。
『12世紀半ばの中国、宋は、大陸北方に女真族が興した金との戦いに敗れ、淮河より北の広大な領土を失った上、屈辱的な平和条約を呑まされていた。だが、政変によって金国王となった完顔亮に、不隠な動きがあることが密偵からもたらされた。宋皇帝高宗は、勇武知略の若き文官子温に、金に再侵略の意図があるか密かに探れ、との命を下した。女将軍と異名をとる母梁紅玉と共に金に潜入した子温は、侵攻必至と判断した…。60万の金軍を迎え撃と子温と忠臣英傑たち。長江を舞台に繰り広げられる宋vs.金の宿命の戦いを、華麗雄壮に描く著者渾身の書下ろし歴史スペクタクルここに誕生。』
歴史小説として『アルスラーン戦記』『マヴァール年代記』『長江落日賦』『風よ、万里を翔けよ』のような面白さを期待していたのですが、あまり面白くなかったです。
フィクション部分よりも史実に寄り過ぎていて、上記作品のような自由奔放さが無いのが致命的でした。
時代設定や登場人物は日本ではあまりなじみの無いものですが、興味深くはあると思いますし、題材としてマイナーな部分を採り上げたのは高く評価すべきです。中国ならではの戦いのスケールの大きさも描かれていたと思います。
多数の文献を渉猟してほぼ史実通りに再現してあるのだとは思います。だがその歴史説明が強すぎて、本筋のテンポが悪く、主役級のキャラすら印象に残りませんでした。過去と現在も飛んでいるためか、物語の本筋すらも飲み込めませんでした。
歴史「小説」というよりも、宋史概説みたいな感じで、物語としては無味乾燥に思えてしまいました。
評価は、歴史小説としての面白さ不足、宋史概説としての評価を加味すると★3です。