他のレビュアーも語っていますが、チャン・イーモウの純正中国時代の作品は、まさに「黒澤」の正統な後継者だと高く評価しています。
特に映画に詳しくない友人も「活きる」を観て、「黒澤」を思い出したらしい。
この作品を初めてビデオで観たときは、映像美と中国の地方の因習と土着の文化が融合された、強烈でへんてこりんな作品だと思ってしまいました。かつ、美意識の高い、いかにも腕利きのカメラマンが監督した作品だな、とも思いました。私自身、当時は、中国文化、中国現代史に対してあまりにも「無知」で、面食らった作品でした。
しかし今観ると「衝撃の天才監督デビュー作」といったコピーをつけたい作品です。
が、やっぱりチャン・イーモウ監督作品の代表作・五つ星は「活きる」だと評価します。
以前、「ラスト・コーション」を最高の反日映画だと書きましたが、ある意味では、この作品も我が正統派反日映画ベスト3に入ります。もう一本は、静かな反日を描いたホウ・シャオシェンの「非情城市」で、第二次世界大戦について全く何も考えていなかった、脳天気だった私ですら、かなりの衝撃を受けました。
映画の良いところは、世界中の国の歴史や文化に根ざしている点にあり、その国について研究してこそ始めて「一本の映画の深さ」が真に理解できることだと思います。
残念ながら、その観客の努力に値する作品は少ない。現在では「希有」だと思います。
映画自体が国境を越え、世界的に画一化されつつあること、ましてや監督不在の自体に突入したことに危機感を覚えつつ、「紅いコーリャン」には、チャン・イーモウの圧倒的なパワーを感じます。ブラボー!