『電波的な彼女』と世界を同じくする『紅』の世界観は、他の作家の系統から言えば西尾維新の戯言シリーズに近いものがあります。
基本的に現代日本なのですが、くそったれな犯罪は多発し、凶悪な能力を持つ超人達を擁する裏組織があり、有能で強力な女性達が出てくる。そういった所は似ていますね。
学生でありながら仕事をする主人公という所も似ています。
主人公がもてるところ(重要)も似ていますね。
現代日本での能力バトルというのはラノベにありふれたテーマですが、その中でも筆力は頭一つ抜けている感があり、重苦しい展開ながらも続きが気になってページをめくる手が止まらないだけの実力があります。
惜しむらくは、遅筆である事ですが。際立って遅いわけではありませんが、ラノベとしては遅い方でしょう。
さてこの第三巻ですが、作者の筆のみならずストーリーの展開も遅いですね。
『上』と銘打ちながら、上下巻ではなく上中下巻の3部構成ではないかと疑われるような状況で、起承転結で言えば『起』にあたります。(そう考えると、上中下で終わるかも怪しいのですが)
おそらく、悪宇商会との戦いがこの『紅』の全篇を貫く大クエストなのでしょうが、この第三巻では他の小クエストを解決しようとしたら期せずして大クエストのど真ん中に迷い込んだ、という感じです。
幹部も倒していないのに大ボスクラスと戦いになったら敗北フラグですね。
『電波的な彼女』の主人公も関わってきそうな展開ですが、どうやら両作品の舞台となっている時代は若干ずれているようです。
紅の方が、4年〜9年くらい前の話みたいです。『電波的な彼女』では高校生のはずの人が、紅では小学生らしいので。
この時代のズレはありがたいです。一つの世界観で複数の主人公というのはスピンオフ作品の宿命ではありますが、一つの作品では読者の分身たる主人公が、他の作品では脇役として出てくるのはあまり気分のいいものではありませんので。
時代がズレていれば、その辺の整合性は取りやすくていいですね。
あとはもう、早く続きを読ませてください、というところです。