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オウム内部の縦割り組織構造で、よその部署が何をしているかさっぽり分らない。と言うのは果たしてオウムに限った事ではない。
自分の会社のある部署が、ある犯罪行為に加担していても普通の社員は知るよしもない、ただ自分は今の仕事にめいっぱい。そんな事は起こりえる訳で、妙に引きずるものがありました。
本書は主に地下鉄サリン事件とはあまり直接的な関わりを持たなかった(と主張する)信者・元信者と著者の対話である。「アンダー…」と違うのは、著者が時には自分の意見や疑問をインタビュイーにぶつけている点である。
著者が時としてオウム信者にシンパシーやある種の人間的魅力を感じるかのような発言をしている。これは読み手によっては納得がいかないかもしれない。しかし犯罪者や世間のお騒がせ者、(絶対裏で悪いことしてるだろう)大物政治家などの中には人を惹きつける魅力ある人物が多くいることも事実である。(現にオウムが取りざたされる以前、ビートたけしが麻原と対談し、「人間的魅力を感じた」というような発言もしていた。)私は著者の意見にどちらかといえば納得しつつ読んだ。だが著者と見方が食い違って、読み手によっては読んでいても全く面白く読めないこともあるとは思う。
私には、信者ひとりひとりの入信動機、教団内の実情が非常に興味深かった。サリン事件実行犯や教団幹部のような、「知っていた人々」ではない、「知らなかった人々」が教団あるいは数々の事件をどう捉えていたかが窺えて、かえって事件の本質に迫っていると感じた。
ただ、やはり読み物としてはインタビュー数が少ないこともあり、「アンダー…」に比べて読み応えが足りない感は否めない。そして、「知っていた人々」の話も聞きたくなるのが人情である。また、村上春樹氏自身がこの事件をまだ消化し切れていないということが伝わってくる。それが読み手によっては物足りないと感じるかもしれない。
だが逆に、著者が未消化のままこの本を読者に投げかける意思、そして“人”としてのオウム信者を扱った本を出す意義はきわめて重大であると思う。「アンダー…」と合わせて読む本として、☆4つ。
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