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約束された場所で―underground〈2〉
 
 

約束された場所で―underground〈2〉 [単行本]

村上 春樹
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (44件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

メタローグ

前作『アンダーグラウンド』とセットで考えたい。オウム真理教による地下鉄サリン事件の、被害者と加害者の側にそれぞれインタビューした著者初のノンフィクションとうたわれているが、この仕事には実は村上氏の、他者とのコミュニケーションへの飢餓感が働いていたと思えてならない。民俗学とは異なるモチベーションを持った現代日本語の語りの収集が、こうして一人の現代作家に言葉の生命力を補給した。相手の言葉に没入して聞き入っていた前作に比べると、本書はオウム信者との論理的な“対決”に熱が傾きがちで、その分言葉自体への愛が目減りしている。(清水良典/文芸評論家)
『ことし読む本いち押しガイド2000』 Copyright メタローグ. All rights reserved.

出版社/著者からの内容紹介

「癒し」を求めた彼らが、なぜあの犯罪に行着いたのか?信者へのインタビュー、河合隼雄さんとの対話によって現代の病理に迫る

登録情報

  • 単行本: 268ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (1998/11)
  • ISBN-10: 4163546006
  • ISBN-13: 978-4163546001
  • 発売日: 1998/11
  • 商品の寸法: 19 x 13.6 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (44件のカスタマーレビュー)
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5つ星のうち 4.0 オウムの本当の姿, 2003/9/11
あとがきで村上春樹が「サリンの被害者よりも、オウムの信者の方が、いわゆる”いいひと”が多いように感じた」と言うのに少しショックを覚えた。

オウム内部の縦割り組織構造で、よその部署が何をしているかさっぽり分らない。と言うのは果たしてオウムに限った事ではない。

自分の会社のある部署が、ある犯罪行為に加担していても普通の社員は知るよしもない、ただ自分は今の仕事にめいっぱい。そんな事は起こりえる訳で、妙に引きずるものがありました。

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10 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 元優等生達の「正義」について, 2009/10/18
By 
イッパツマン (あちらこちら) - レビューをすべて見る
(トップ500レビュアー)   
 現代社会への不信や嘆き、努力すれば良き世の中を作れる存在になれるという実直な勤勉さ、他人と自分は違うはずだというプライド。

 こういう要素が入り混じった精神構造は、今30〜40代より下の年代の日本人で「普通の優等生」だった人々には、ある程度共通する資質だと思う。若手ベンチャー社長がやたら声高に社会貢献を口にしたり、熱血サラリーマンが顧客満足に命を賭けたりするのと同じように、オウム信者達は出家信徒として世界の救済を夢見た。自分の理屈と信念を信じて周囲を引っ張る力が「リーダーシップ」と呼ばれ、政治ではそれが「プリンシプル」とか呼ばれ、持てはやされる時代。今、日本人全体がそういう強く正しいリーダーを求めているように、彼らは「グル」を求めたのだと思う。
 
 村上春樹は、オウムにいた人々の世界観/善悪観が「薄っぺらい」「小さい」という。そんな矮小だが強固な世界に安住するのは、居心地は良いだろうが弱い生き方ではないのか、と問う。その一方で、河合隼雄との対談では、かつて満州に渡った若いテクノクラート達と同じ精神構造をオウム信者達に見て、日本人エリートの精神構造自体の共通した問題を見る。
 
 「正義」は時に押し付けないと「正義」として達成されない。しかし、押し付けの度が過ぎると、それは「暴力」「悪」になる。「正義」が暴走しないように、小さな「悪」を直視して個人も社会も共存していくしかないんじゃないのか、という河合氏の指摘は新鮮だった。だが、それが具体的にどういう社会と個人の在り方になるのかは、まだ分からない。

 深い本だと思うが、この深さは「アンダーグラウンド」のダークな闇の色をしている。
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24 人中、20人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 “人”としてのオウム信者, 2004/8/28
「アンダーグラウンド」の読後、この本を読んだ。

本書は主に地下鉄サリン事件とはあまり直接的な関わりを持たなかった(と主張する)信者・元信者と著者の対話である。「アンダー…」と違うのは、著者が時には自分の意見や疑問をインタビュイーにぶつけている点である。

著者が時としてオウム信者にシンパシーやある種の人間的魅力を感じるかのような発言をしている。これは読み手によっては納得がいかないかもしれない。しかし犯罪者や世間のお騒がせ者、(絶対裏で悪いことしてるだろう)大物政治家などの中には人を惹きつける魅力ある人物が多くいることも事実である。(現にオウムが取りざたされる以前、ビートたけしが麻原と対談し、「人間的魅力を感じた」というような発言もしていた。)私は著者の意見にどちらかといえば納得しつつ読んだ。だが著者と見方が食い違って、読み手によっては読んでいても全く面白く読めないこともあるとは思う。

私には、信者ひとりひとりの入信動機、教団内の実情が非常に興味深かった。サリン事件実行犯や教団幹部のような、「知っていた人々」ではない、「知らなかった人々」が教団あるいは数々の事件をどう捉えていたかが窺えて、かえって事件の本質に迫っていると感じた。

ただ、やはり読み物としてはインタビュー数が少ないこともあり、「アンダー…」に比べて読み応えが足りない感は否めない。そして、「知っていた人々」の話も聞きたくなるのが人情である。また、村上春樹氏自身がこの事件をまだ消化し切れていないということが伝わってくる。それが読み手によっては物足りないと感じるかもしれない。

だが逆に、著者が未消化のままこの本を読者に投げかける意思、そして“人”としてのオウム信者を扱った本を出す意義はきわめて重大であると思う。「アンダー…」と合わせて読む本として、☆4つ。

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