メガネっ娘に扮した吹石一恵のふくれっつらにまずハマる! 青春期特有の否定性のままに、此処ではないどこかを求めて家出する紀子。「停電です。…しました、停電。」キャストそれぞれのナレーションが心地よく、ラジオドラマみたい。―上野駅54(つぐみ)にならってレンタル家族に従事する紀子(歯ブラシくわえた2人の夜のシーンがエロくて絶妙)模擬家族を演じていくことで新たな自分=ミツコへと変わっていく吹石の熱演が見もの。否定性から見かけ上の肯定へ。ミツコは紀子の関係者となり、優越の目で世間を見る錯覚に酔いしれる「私達が東京を飼っている…」ライオンになりすましたウサギ。 ―姉よりも冷静な妹ユカ(吉高由里子すごい!冷ややかな美貌!あの目つき!)もまた好奇心から姉の足跡を追い、娘2人が失踪したあとの父親の動向をシミュレートしてみせたノートを残して、家を出る(この辺はノートをとってる彼女の姿が、教室、プールサイド、街頭、と美しいシーンの連続!) ―父・徹三の章からラストまで一分の隙もないスリル、自殺サークルの意味が初めて具体的に語られる古屋兎丸の怪演! そして父娘の再会の場に集中する役者全員の気迫! 嗚咽しながら妹が言う「・・・みんなライオンに見えるの。・・・ウサギに戻ろうよ」この言葉で四人の中の何かが終わる。・・・ミツコは紀子に戻り、徹三は生まれ変わって、娘にとって良き父親たろうと既にまた演じ始めている?!―ひとり目覚めている妹だけが、再び始まる虚構の虚しさを断ち切って、もう一度、今度は本気で家を出てゆく・・・。 癒しとしての家族性の確認(ノスタルジー)とその家族性からの全き解放の夢を同時に見せるラストまで、全カットに無駄がない、必然性を感じる映画。娯楽を越えた、一から十まで「本気」の映画。