最初に置かれた言葉は、生糸の染織家岩田による「色には季節がある」。
大西はその言葉遣いに少し違和感を覚えながら、岩田による染めの作業を写し撮って行く。
確かにそうです。「季節には色がある」と言われればノイズは起こりませんが、「色には季節がある」では、どこか居心地が悪い。
しかし、ページを繰っていくとそうしたことは解消されていきます。
地元の草木で染めをする岩田にとって、染め上げられ並べられている様々な美しい色の生糸は、それぞれの色が、ある季節だけの記憶で染められているのです。それらの色は季節そのものなのです。
ここで、私には作り手と買い手のスタンスによって同じ物が別の見え方をしていることがストンと心に落ちてきます。
私は「季節の色」しか分かりませんが、「色の季節」を見ている人がいるのを知るだけでも、視野は、いや世界は大きく拡がります。
大西の無駄のない言葉と、写真のレイアウトの自然さは、ますます磨きがかかっています。