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本書の主人公は、日本に国家が現れるはるか以前から活動していた最古層の神、精霊シャグジである。シャグジは国家権力の確立とともに社会のおもてから姿を消すが、著者はこの精霊が芸能・技能の守護神「宿神(シュクジン)」として力強く生きつづけたと考える。室町初期の能楽師・金春禅竹がのこした「明宿集」(著者による現代語訳を併載)によれば、猿楽の「翁」として表現されたものこそ宿神であり、宇宙の根源であるという。さらに興味深いのは、国家に追いやられたはずの宿神が、じつは権力のみなもとに横たわっているという視点だろう。天皇家では、「宿神=翁」に見られる神話的な力こそ、本来その権威を裏づけるものだったのだ。
この考察は、いうならば知の分野から権力へ向けた根本的な問題提起である。それだけですでに充分すぎるほど刺激的だが、著者の思考はさらに壮大な発展をとげる。世界中からさまざまな神や説話を探し出し、宿神との関連性を提示してみせるのだ。対象は仏教の摩多羅神、朝鮮半島の神話、はてはアーサー王伝説にまで及ぶ。今さらながら、その奔放な想像力とたくましい理論構築には脱帽せざるをえない。
著者は、民俗学に関心をいだく父親の影響で、おさないころからシャグジの存在を身近に感じていたという。じっさい、本書は亡き父に捧げられてもいる。地球規模の広がりを見せる著作がきわめて個人的な記憶に発しているのは、どことなくふしぎな気もするが、すぐれた仕事というのは案外そんなものなのかもしれない。(大滝浩太郎)
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でも、中身はいたってというか、正真正銘の思想書たりえている。諏訪信仰圏に見れる「宿神」信仰を皮切りに、読者は時空を超えて展開される思考と想像力の海へ投げ出されるのだ。その心地よいこと。中沢は本書で「野生の思考」「新石器時代の思考」「アフリカ的段階」と賞される人類最古の知をひたすら目指している。そこは言語がまだ到達していない未明の領野だ。しかしそこは俗世の創造と破壊を担うまさに「哲学の後戸」なのである。
もし、思想家を思考し得ぬものを思考しそれを言葉にする者を指すならば、あまたの「現代思想のレジュメ屋さん」を掻き分けて、中沢は本物の思想家たりえている。吉本の衣鉢を継ぐのは彼だろう、そう実感できる一冊。
網野さんの主張する「無縁の原理」ってやはりそうだったのかと深く得心した次第です。
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日本人の心の深層にあるものを知りたい方にお勧めです。
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現在、私は日本とは何かを知りたくて色々な本を読んでいます。特に日本人にとって宗教とは何かに特に興味があります。日本は神道や仏教をはじめてしてありとあらゆる宗教にかこまれているのに、何故日本人は無神論者だと言われるのか、また日本人自身がみずからをそうおもっているのか、私には不思議でならなかったのです。
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そのなかでこの「精霊の王」は私に多くのことをおしえてくれる素晴らしい書物でした。この本がこの一年間で読んだ本のなかではベストワンです。~
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