著者は70歳のときに心筋梗塞を患い、39日間の集中治療室での治療と約3年間の病院生活を送って生還できたが、3分の2の心臓は壊死してしまった。退院後、胃の中に直径5センチの悪性腫瘍が見つかり、内視鏡での切除手術も2回行なった。
そういう著者が残った心臓を大事に、栄養もバランスの良い食事を摂って生きようと、田園生活を長野県佐久郡北御牧村で始めることになった。北御牧での生活は斜面を上り下りせねばならぬので適度な運動となり、時にやってくる異国の娘らと中学時代に覚えた英語を使って会話してボケ防止の頭の体操をし、畑仕事もし、竹紙を一緒に漉いて、草の煮汁で絵を描いて年に1、2度展覧会をやって楽しむ生活が続けられた。著者はこうして85歳まで生きた。
北御牧村に生活を移し、畑をつくって野菜を育てながら、とれた野菜で精進料理を自ら作って食してきたわけだが、その料理内容をまとめたのがこの本である。元々著者は若いとき寺で小僧として修行し、禅宗の調理を上の人から教わっていた。作り方は大まかで、あくまで素材の味を大事にする。写真がきれいで食欲をそそる。
心筋梗塞の再発を防ぐにはコレステロールと中性脂肪を低く抑え、また血圧を低くコントロールしなければならない。これらの料理の作り方には塩分制限についてはあまり強調されていないが、食事の量そのものが少なければ、つまり粗食であれば、あまり気にしなくていいということだろう。ダイエットにも効果的。