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精神障害者をどう裁くか (光文社新書)
 
 

精神障害者をどう裁くか (光文社新書) [新書]

岩波 明
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

「野放し」と「厳罰化」のあいだ−−

なぜ「心神喪失」犯罪者たちは、すぐに社会に戻れるのか。
なぜ刑務所は、精神障害者であふれるようになったのか。

日本における司法・医療・福祉システムの問題点を暴く。

内容(「BOOK」データベースより)

「野放し」と「厳罰化」のあいだ―。なぜ「心神喪失」犯罪者たちは、すぐに社会に戻れるのか。なぜ刑務所は、精神障害者であふれるようになったのか。

登録情報

  • 新書: 224ページ
  • 出版社: 光文社 (2009/4/17)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4334035019
  • ISBN-13: 978-4334035013
  • 発売日: 2009/4/17
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (13件のカスタマーレビュー)
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3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By カロン VINE™ メンバー
形式:新書
精神障害者による重大事件が起きるたびに、マスコミでセンセーショナルな報道がなされます。

ですが、加害者となった精神障害者が、どのようにして処罰され、または処罰されないで「治療」を受けるのか、
「刑罰」と「治療」とを振り分ける基準は何か、その基準に問題はないのか、その基準通りに運用されているのかということは、あまり知られていません。

本書では、精神障害者の刑事裁判で絶えず問題となる「刑法39条」と、それに関連する触法精神障害者の処遇を問題について、バランス良く解説されています。
刑法39条に対しては、様々な立場から異論が唱えられているところですが、著者は、それぞれの立場に配慮しつつも、客観的なデータ、精神医学的な知識、今の我が国で触法精神障害者の置かれている状況等を詳細に検討し、最終的に、刑法39条は必要であるとする立場に立ちます。
その上で、精神障害者に対する刑事裁判の、運用上の問題点について指摘することも忘れてはいません。

著者の論述は、「刑法39条を廃止すべき」といった主張に比べると、明快ではないかもしれませんが、あくまで事実から出発しようとしている点で、信用がおけると思います。

なお、本書によると、
最近、マスコミの話題になっている「新型うつ病」という用語には、
医学的な根拠はないそうです(188ページ)
このようなところにも、「事実そのもの」を大事にしようとする著者の姿勢が見られます。
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By Lucca9
形式:新書
昨今の報道で良く耳にする「精神鑑定」。
実際にそれがどういうプロセスで行われ、それが判決にどう影響するのか、
報道を見ているだけでは分からない部分も多い。
本書では、精神障害者に対する日本、欧米の対応の歴史や現状、そして問
題点が丁寧に解説されている。

精神障害者だったら刑罰を受けなくていいのか?
素朴な疑問である。たしかに「それが罪である」と分かっていない人に罪
を問うのは意味のないことだろう。そう考えると、やはり本書で著者が提
案しているように、その人が罪を認識できるように治療したり、それが困
難な場合は、社会の安全のために再発防止の何等かの策を講じるべきであ
る。

法律には疎いが、中学生のときに習った「公共の福祉」のために我々の権
利が制限されるというのは、そういう事ではないのかと思った。

精神障害者の犯罪を予防するための手厚い医療制度、そして実際に犯罪を
犯した、触法精神障害者が、己のためにも、社会のためにもきちんとした
治療を受けられるシステム作り。
日本はこの二つを同時並行で勧めていかねばならないという事が良く分かった。

今の日本の精神医療、司法の問題点がよくわかる一冊である。
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入門書として 2012/5/26
By 懸垂百回 トップ500レビュアー
形式:新書
触法精神障害者の処遇についての入門的・概説的な本。具体的には以下の点について述べられている。

 1. 精神障害とは何か。精神障害者による「犯罪」はどのくらいの頻度で起きているのか。
 2. 刑法39条によって,触法精神障害者が不可罰とされたり,刑を減じられたりするのは,どのように正当化されるのか。
 3. 無罪,執行猶予あるいは不起訴とされた触法精神障害者の処遇はどうなっているのか。それは妥当か。
 4. 精神鑑定は信用できるか。
 5. 裁判所は,触法精神障害者を適切に扱ってきたか。

本書が扱う問題は,自然科学である精神医学と規範学である法律学,福祉論と刑罰論が交錯して分かりにくい。著者は精神科医だが,法律学の観点からは首を傾げてしまうような記述もある。

その例が上記2.,刑法39条(の特に第1項)の正当性に関する主張である。これはふつう近代刑法の基本原則である「責任主義」から,いわば演繹的に説明される。刑法の教科書や入門書ではそのように書かれているし,実は本書にも "引用" として触れられているのだが(p.20),本書はこの説明を採らない。そうではなくて,"犯罪" をおかした精神障害者は "許されて" きたという歴史的事実に根拠を求める。

だが,こう考えるかぎり,触法精神障害者の免責については "犯行" の重大性を考慮せざるをえないだろう。人を100人殺しておいて「情状酌量」(p.174参照)で無罪とは言えないはずである。

しかし,現行法は結果の軽重を問題としていない。だから,たとえ100人殺しても,その者が心神喪失であれば無罪となる(刑法39条1項)。これは歴史的視点からは説明できない。まさに規範学(責任主義)による説明が求められているのである。

本書全体を見ても,多くの論点に触れられている一方で,個々の記述は薄く,帯に短し襷に長しの感がある。にもかかわらず,本書の評価を★4とするのは,触法精神障害者の処遇について一般向けにかかれた良書が,あまり見当たらないからである。本書は比較的オーソドックスな立場から書かれているので,司法精神医学や精神鑑定の現状について知りたいという人にはおすすめである。ただし,理解を深めようとすれば,他の専門家の著書にも当たる必要がある。

なお,本書37〜38ページでは,イギリスにおける殺人事件の発生率と,日本におけるそれとがほぼ同程度と述べられているが,これは間違いであろう。『犯罪白書』を見ても,イギリスでの発生率は,日本の2〜3倍である。本書はおそらく,イギリスで起きた殺人事件(既遂のみ)の数と,日本での殺人事件(未遂・予備も含む)を比較してしまっているからと思われる。本書の第1章では,『犯罪白書』からの引用がなされているが,ここでの「罪名」も,未遂等を含む数字であることに注意。本書にはその旨の説明がない。ちなみに『犯罪白書』は,法務省のサイトから閲覧できる。
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