著者は親友を、「ひょっとしたらうつ病で自殺するのではないか」
という予感を抱きながら、それ以上の踏み込んだ行動ができず、自殺で失う
という経験をした。それがこの本の中心的なモティーフとなっている。
その想いを著者はこの本の中で”うつの暗闇”という表現で何度もその心情を書き綴る。
精神病は心臓病や糖尿病や胃潰瘍や腎臓病と同じ病気なのに、
心の病だけ特別視するのはおかしいのではないか、「心の時代」といわれているのに、
患者さんを見る周辺の人々の目は依然として冷たいものだと、臨床をしていて
痛感すると著者は訴える。
著者は精神科医でありながら、自身がうつ病になった時には回復のためのセオリーを
無視して服薬しながら強引に働き続け、最後には三ヶ月の病休に追い込まれてしまう。
最後に、著者は読者に対し、自分を真似てはいけないこととして
「休息なしに抗うつ薬を服みながら強引に働くこと」
それは予後を悪くするから。だから、家族の誰かが「うつ」になっていると感じたら、強引に仕事を休ませ、精神科を受診させることが大切であると言う。
そのことがこの日本で毎年3万人以上発生している悲しい自殺を減らす、
たった一つの方法だと訴える。
著者のこのアドバイスには強く共感するものである。
うつ病になった方はうつ病に関する基本的な本を読まれた後に、
精神科医が自らうつ病に苦しんだという貴重な体験をつづった
この本を一読されてはいかがかと思う。