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精神医療に葬られた人びと (光文社新書)
 
 

精神医療に葬られた人びと (光文社新書) [新書]

織田淳太郎
5つ星のうち 3.4  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

20万人とも言われる“治療の必要のない入院者”は、いかに生み出されたか?ノンフィクション作家である著者が、ある精神科病院の「長期療養型」病棟への入院体験をもとに、「社会的入院」の内実を初めて明るみに出す。そこには、東京オリンピックの頃から入院していた人も―。

出版社からのコメント

◎入院期間40年----
福島原発事故で露呈!
長期入院者と認知症高齢者の実態

◎20万人とも言われる"治療の必要のない入院者"は、いかに
生み出されたか? 自らの入院体験を基に綴る、衝撃のルポ。

◎「社会的入院」とは、「本来の治療目的で病院に入院しているのではなく、治療の必要がなくなったにもかかわらず、生活条件が整っていないために長期入院を続けている状態、またはその状態の患者のこと」を意味する。元々は高齢入院者を指す用語だったが、いつしか精神病院における長期入院者にその意味が転化されたという。厚生労働省の推計では、その数、七万二千人。しかし、これは各病院の主治医の主観によるもので、二十万人に及ぶのではないかという調査結果もある。
ノンフィクション作家である著者が、ある精神科病院の「長期療養型」病棟への入院体験をもとに、「社会的入院」の内実を初めて明るみに出す。そこには、東京オリンピックの頃から入院していた人も----。

【著者紹介】
織田淳太郎(おだじゅんたろう)
1957年北海道生まれ。ノンフィクション作家。著書に『ある精神科医の試み』(中央公論新社)、『ルポ 現代のスピリチュアリズム』(宝島社新書)、『捕手論』『コーチ論』『医者にウツは治せない』『メンタル・コーチング』(以上、光文社新書)、共著に『そしてウツは消えた!』『左重心で運動能力は劇的に上がる!』(以上、宝島社新書)、『ナンバ走り』『脳を鍛える筋トレ』(以上、光文社新書)などがある。


登録情報

  • 新書: 283ページ
  • 出版社: 光文社 (2011/7/15)
  • ISBN-10: 4334036325
  • ISBN-13: 978-4334036324
  • 発売日: 2011/7/15
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.8 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.4  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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最も参考になったカスタマーレビュー
22 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By Kazero
この手の本は個人的な恨みつらみの経験を始点として書かれることが多く、
本書もその例に漏れることはありません。
それがゆえに下のレビュワーさんのいうとおり一面的な面も目立ちます(それが心地よい人もいるのでしょうが)。
医療批判本らしく医療の全能性を前提とし、それができないことに対し批判するのも常套手段ですし、
イギリスの精神医療が進んでいるのは確かなのでしょうが、医療事情としては問題が山積みです。

とはいえ社会的入院を取り上げたことは重要な点です。
帚木蓬生の『閉鎖病棟』にも描かれていますが、時間は経過してもまだまだ大きくは変わらぬ問題だからです。
自分はたんなる内科勤務医ですが、病棟の経験から、
「社会的入院? 病院(や家族)はなんてひどいことをしているんだ!!」と思えるのは、とてもナイーブで、
およそ意思疎通が全く取れなくなってしまった身内を見たことがない人、
病院関係者がなんとかしようと思っていても、それを許す社会ではないことを知らぬ人と思います。
「老人・病人をだれが世話をするのか」は今後の社会で避けては通れないアポリアです。
姥捨て山をつぶすことが正解なのか、整備することが正解なのか。別な道があるのか。
一面的な見方に溜飲を下げるのではなく、みなさんに悩みながら考えてほしい議題です。

以上の点から本のタイトルには違和感を覚えます。
『地域社会に、あるいは「日本」に葬られた人びと』のほうが正しいのではと考えます。
すなわちこの手の事象は、すでに医療の問題から離れてしまっているようにも思われるのです。

これも一面的な見方にすぎないかもしれませんが、
日ごろ認知症末期や精神疾患合併患者、その周囲を見ているので
現実との相違を感じ、物申したくなりました。
このレビューは参考になりましたか?
20 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By
未だ残る収容主義の旧体制精神科病院の実態と、そこに入院する患者の様子が生の声ととに詳細に描かれている。
更に注目すべきは、本書には単なる「悪い病院」の暴露本に留まらず、日本の精神科医療が抱える、また社会の中で担って来た本質的な問題は何であるかという所まで掘下げて書かれている。
「日本の精神科医療とは一体何なのか?」この分野に携わる人には必読の一冊だと思われる。
このレビューは参考になりましたか?
16 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
『新ルポ・精神病棟』(大熊一夫,朝日新聞社)以来となる、精神医療分野の告発本である。本書の74ページには、開かれている病棟―三枚橋病院でのこころみを行った石川信義医師の発言がある。
「要は社会的入院者を支える施設と組織が地域にあればいいだけの話なんです。
…国や自治体が彼らの住むアパートや共同住宅を用意し、食事を提供する仕組みを作る。
さらに、地域支援センターや日中の過ごし場である作業所やデイケアを整える。
それを用意するだけで、彼らは病院を出て、地域で暮らすことができる」
本書の要諦は、これにつきる。裏を返せば、それ以降の、二重らせん構造のように200ページに亘って紡がれた、著者体験取材と精神医療史の分析は、読む必要がなくなってしまう。

上述の三枚橋病院で「外で大変なことを(患者が)やらかしたことなんて一度もない」ことを持ち出しても、それは特殊命題(一事例)にすぎない。福島原発の放射能ではないが、たとえば娘を持つ地域の親御さんにしてみれば、「うちの近くの病院でその保証はないでしょ!」と言われてしまうだろう。「(患者の自由外出で)万が一何か重大なことが起きたら、僕(院長)が責任をとればいい」と言える病院は少ないと思う。「過剰な治安観念」で片づけられる問題ではない(病院トップの覚悟を、あまねく要求するのは酷だろう)。本書終盤226ページになってようやく出てきた「精神障害者の犯罪率は、一般人に比べて低い」という普遍命題で対抗しないと、納得を得るのは難しい。

また、「保護者に依存しない健全な地域生活を、なぜ国や病院が責任を持ってバックアップしようとしないのか」というのは、確かに正論である。が、障害者に限らず、健常者成人でも、たとえば、賃貸住宅の契約にも保証人(実質的な保護者)が必要なのが、今の日本社会なのである。いずれも「問題の根」はもっと深い。はっきり言って、社会的入院の数が問題なのではなく「関係性の場をどう作るか」(終章タイトル)が問題なのだが、筆者の意見は見られない。「(”普通”の幅が狭くなっている)世の中って、…多くの”健常者”にとっても、ひどく生きづらい」歴史学者兵頭晶子氏のコメントを牽いているだけである。

加えて、「地域で精神病者をケアするには、国の財政的後押しが絶対に不可欠」なのも、ごもっとも。だが、世界的には低税率の歳入に頼んだ高福祉国家に近い歳出で、わが国の累積債務が雪だるま式に膨らんでいるのは周知の通り。それを解決する知恵はなかなか出てこない。思いやり予算でも削りますか?

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以上のように、1ケースの見聞を持って、日本の精神医療全体の問題にしてしまう記述が散見される。自らの取材した先進的取組みを行っている医師の解説(=2次情報)から、日本の多くの精神科病院は、管理的・拘禁的で、長期入院者を「固定資産」扱いする利益偏重体質だと断罪し、「病院の開放化・患者の地域移行」という世界の潮流に逆行していると非難している。確かに、「日本の精神科病院のベット数は、他の国々と比べてずば抜けて多い」。筆者はこれを、民間病院の収益確保策だと批判するが、上のことは裏を返せば、筆者も触れている「精神科特例」(患者数に対する法定医師・看護師数の特例)、即ち患者数に対する医師不足の表れである。日本全国の精神科病院をヒアリング調査したのでもないのに、予算不足・医師不足・人材不足の中、日々奮闘している医療現場に対して失礼ではないだろうか。しかしながら、「社会的入院」という問題提起には大きな役割を果たすと期待できます。Bloombergに関連記事が出たのも、本書の影響でしょうか。よって★三つとします。

山口修司(精神保健福祉士)
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