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精神医学から臨床哲学へ (シリーズ「自伝」my life my world)
 
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精神医学から臨床哲学へ (シリーズ「自伝」my life my world) [単行本]

木村 敏
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 2,940 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容紹介

専門である精神病理学を軸に、独自の自己論、時間論、生命論などを展開し国内外に大きな影響を与えてきた木村敏。本書は、自身の生い立ち、家族、故郷、学生時代、研究対象の変遷、海外での生活、同時代の研究者・思想家たちとの知的交流…数々のエピソードを交えて研究人生を語りつくす、初めての自伝。
2010年度第64回毎日出版文化賞受賞作

内容(「BOOK」データベースより)

専門である精神病理学を軸に、独自の自己論、時間論、生命論などを展開し国内外に大きな影響を与えてきた木村敏。本書は、自身の生い立ち、家族、故郷、学生時代、研究対象の変遷、海外での生活、同時代の研究者・思想家たちとの知的交流…数々のエピソードを交えて研究人生を語りつくす、初めての自伝。

登録情報

  • 単行本: 364ページ
  • 出版社: ミネルヴァ書房 (2010/4/20)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4623057518
  • ISBN-13: 978-4623057511
  • 発売日: 2010/4/20
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.4 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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最も参考になったカスタマーレビュー
9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By フエゴ島民 トップ1000レビュアー
木村先生が自伝を書いたというだけで、一時代の精神科医たちは皆この書物を読むでしょう。
先生が精神病理学の第一人者となってからの記載は、伝記的な記録よりも、学説の発展の記載が中心です。
学園紛争当時の経過などはまだ生々しくて、書くことが難しいようです。それでも当時の学生運動への共感と違和感とが率直に書かれており、
貴重な証言です。
精神医学者になるまでの過程も、子供の頃から記憶力が悪かった(!?)、医学部卒業時に音楽への傾倒から耳鼻咽喉科の選択
を考えたことなど、驚くエピソードが多く、精神病理学者木村敏の素地を見事に示してくれました。

精神病理学という学問(著者は最近の精神医学の潮流になかば絶望して臨床哲学との言葉を使っています)が精神科医教育と臨床でどのように反映されるのかを改めて考えさせられます。

哲学の国際的な(ハイデガーも含めた)活発な交流風景も詳しく描かれ、こうした人間的つながりを背景に学問が発展するのだと目を開かれました。

今年2010年の精神神経学会で著者は、間主観的人間学をもとにした精神病理学を高らかに宣言して、教授定年後16年たっても、その立場に
揺るぎないことを明らかにしています。
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7 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By Gori トップ500レビュアー VINE™ メンバー
著者の木村敏(きむら びん)氏は1931年生まれ。精神科医。専門は統合失調症(氏の学生時は精神分裂病)
自伝ではあるが、氏の生きた時代がまさしく日本の精神医学発達史の一側面であるのでまことに興味深い
氏は「ロボトミー」「電気ショック」「インシュリンショック(インシュリン投与により低血糖の昏睡状態を引き起こし、覚醒させる療法)」の
暴力的な治療の時代から、「向精神薬によって就職されていない患者をじっくり観察できる」おだやかな時代、
同時に進んだ精神分析の時代を経て、今は「臨床哲学の時代」にあるという。

著者の精神分析に対する立場は以下のようなものである。
「フロイトの精神分析に始まる力動精神医学や心理療法の諸流派も。今日用いられている向精神薬が、仮に、もう1世紀も前に
 開発されていたとするならば、現在のような隆盛は見なかったのではないか。『無意識の精神病理』と総称することのできるこれらの理論は、
 すべて、安易に抗不安剤に頼ることなく、長期間にわたって患者の人性そのものを治療対象とする臨床が生み出したものにほかならない」

これに対しては「現在のような隆盛」という言葉は、簡単にまとめ過ぎなのではないか、と思う。僕の認識ては、精神分析は明らかに廃れており、
心理療法に関しては、カウンセラー全能という誤った認識を世の中に生みつつある、と思う。
向精神薬が先に生まれていれば、精神分析は生まれることがなく、たとえ生まれても、おそらく駆逐してしまっただろうという考察は、
そのとおりであると思う。 だた、その結果の幸不幸に関しては僕に論評する能力がない。

さて、 精神分析が、その未来に進むところは臨床哲学である。
「『臨床哲学』とは聞き慣れない名称であるが、現実社会の具体的場面で生じているさまざまな問題を「治療」という観点から、しかも「医者」ではなく、
 むしろ『患者』の立場に立って考えていこうとする哲学的活動を指している」という鷲田清一氏の解説が一番わかり易いだろう。

精神医学が哲学にその進路を見出さなければならないのは、学問の必然のようにぼくには思える。
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9 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ib_pata VINE™ メンバー
 木村先生が精神科医になった一九五六年頃は、ちょっと残酷なようにも聞こえますが、現在のように向精神薬の作用で修飾されていない精神病像を観察することができた、という時代でした。そして、臨床から精神病像を類型化するという長い動きにつながります。フロイトに始まる力動精神医学や心理療法の諸流派も、今日用いられている向精神薬が、仮に、もう一世紀も前に開発されていたとするならば、現在のような隆盛は見なかったのではないかというあたりは、思い切ったことを言うな、と思いました。

 こうした中で木村敏先生は、独自の現象学的・人間学的な精神病理学を展開していくのですが、世界はDMS-IVなどのように誰にでも客観的に判定しうる具体的な症状に基づく薬物投与という方向に向い《統合失調症の背後に自己の個別化の原理に関する危機的な状況がひそんでいるとか、内因性メランコリーが自己の役割期待に対する遅れを舞台にして展開されるとかいった、現象学的あるいは人間学的な言述の入り込む余地はどこにも見あたらなくなった》(p.312)、と。そして、《精神病理学が精神医学の枠内でその存在を脅かされているのであれば、むしろ精神医学をいったん捨てたほうがいいのではないか》として、哲学に接近した臨床哲学を最後の活動の場とすることを宣言して終わります。

 それにしても、ドイツ留学の下宿先の親父さんがクナッパーツブッシュと親友で、いつもスカートというカード遊びをやりに来ていたとか、その方のお葬式にクナッパーツブッシュがミュンヘンフィルの楽団員を連れてきて葬送行進曲を演奏しているのを参列して聴いたとか(p.92)、ハイデガーやヴィンスワンガーに会ったり、ヴィルヘルム・ケンプにピアノ弾いてもらったりするという、もはや伝説の人物との交流はタメ息がでるばかり。
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