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精神分析体験:ビオンの宇宙―対象関係論を学ぶ立志篇
 
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精神分析体験:ビオンの宇宙―対象関係論を学ぶ立志篇 [単行本]

松木 邦裕
5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

本書の仮の表題を,私流の精神分析入門書『対象関係論を学ぶ』の続編との位置づけから,その「立志編」としていました。同書を読んで,もっとこの考え方を学んでみようとの志を抱かれた方に読んでいただこうという意図からです。
構想十余年を経て,待望の書き下ろし。もっとも明快なビオン入門。

著者について

松木 邦裕(まつき くにひろ)
1975年 熊本大学医学部卒業
九州大学心療内科,福岡大学医学部精神科勤務を経て,
1985~87年 タヴィストック・クリニックに留学
1987~99年 医療法人恵愛会福間病院勤務
現 在 京都大学大学院教育学研究科教授
    日本精神分析学会会長,日本精神分析協会正会員

登録情報

  • 単行本: 232ページ
  • 出版社: 岩崎学術出版社 (2009/4/1)
  • ISBN-10: 4753309029
  • ISBN-13: 978-4753309023
  • 発売日: 2009/4/1
  • 商品の寸法: 21.2 x 15.2 x 2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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形式:単行本
 現代の精神分析は、自我心理学から対象関係論にパラダイムシフトしており、
フロイト−>クライン−>ビオンへと、その進歩は、物理学でのニュートン力学
から量子力学、相対性理論への飛躍によくたとえられます。

 ビオンの巨大な業績は、世界中の分析家に多大な影響を与え続けていますが、
例えば中核的な著書であるセブン・サーヴァンツ「精神分析の方法」を少しでも
本気で読んでみようとすればわかりますが、その難解さは、最高峰、エベレスト
の様に、読む者を容易には近寄せません。

 この本は、難解なビオンをわかりやすくその本質を浮き彫りにして、読む者を
滋養してくれます。読書の体験そのものが、ビオンがcontainer/contained の概念
の中で精神分析のモデルとしてあげた母親と授乳される乳児との関係で表したこと
を具現化しているように私は感じました。

 ビオンが提示した ♂/♀ -♂/-♀ Ps<−>D K L H noK -K -L -H  α β 
O T グリッド 破局 頂点 などの不飽和な概念や視点が、読む者の「考えること」
という考えるための装置を発達を刺激し、促してくれるようにも感じました。

 「終章 ビオンに学べないこと」 では、精神分析とは何か 改めて考えさせられます。
「ビオンの考えをマスターしてビオンのようになることではなく」
「ビオンと2者関係に留まるのではなく、第3の立場を自らの内に確立し」「ビオン
 と対話すること」そして「自分自身の考えを持ち」、私自身「である」こと。
「精神分析は、何かを発見するためのさらなる問いなのです」

 精神分析を学ぶ者の必読の書であり、著者の「対象関係論を学ぶ」と併せて読むと
理解が深まると思います。
このレビューは参考になりましたか?
10 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
 難解と言われるビオンの理論について、ビオンの言葉を用いながら、そして著者の言葉を程よく添えながら伝えてくれていると感じました。
 程よくというのは、ビオンの考えに対して著者自身の捉え方が入ることを自覚しているということです。ビオンの考えを壊さずに読者に伝えようとしながら、無味乾燥な解説書にならないように著者の実感のこもった理解が入れようとしている。
 とても慎重に、そして誠実に書き記そうとする姿勢が伝わってきます。
 ビオンの理論についての理解は、それでも確かに難解と感じる部分があります。しかし他の図書よりもずっと理解しやすく感じさせられるのは、そうした筆者の姿勢からくると思われます。
 また、頭でなんとか理解しようとしている自分に対し、気付かされる別の視点も述べられています。ビオンの理論を具体的な臨床場面ですぐ応用することには、読者個人の力量やそれまでのビオンの理論についての理解の程度によるのでしょう。ちなみに現在の自分には難しいことと感じています。
 しかしそれ以上に、ビオンが言わんとしたことについて、そして筆者がビオンの考え方を踏まえて、伝えようとしている「考え方」について、勇気付けられる本です。
このレビューは参考になりましたか?
7 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
思考の発達 2010/2/17
形式:単行本
同じ精神分析と言ってもその臨床家・理論家によってそのものの見方は大きく変わるように
思う。ビオンは何を精神分析の中心に置いたのかと言うと「思考」である。思考の発達が人
間を作り上げるとし、その展開を詳細に描いていった。そして真実というものが強烈な不安
を喚起するとともに、栄養にもなり、人間にとっては真実が必要であるという理解を示して
いった。そして精神分析の本質はその真実を探求することとビオンは定式化したのである。
このようなところが今まで分かりにくかったが、本書を通して、整理して理解できたように
思う。

またビオンは精神分析家とは何か?ということについても生涯に渡って考え続けたようであ
る。精神分析家になるためには一定のトレーニングと協会からの認定が必要になる。しかし
、精神分析家の資格を取得することと、精神分析家になることとはイコールではないという
ビオンの主張には大変うなずけるものである。資格云々とは別に精神分析家であり続けるこ
とは大変な困難なことであることは容易に想像がつく。しかし、だからといって、精神分析
家には他者から認定される資格は必要がないというのは短絡的な思考だと思う。

本書ではビオンの理論を紹介されているが、ビオンの生き方・生涯についてはほとんど触れ
られていない。付録でビオンの年表が少し載せられているぐらいである。精神分析の理論は
その分析家の生き方が直結していることはほとんどの人に同意されるだろう。生き方やパー
ソナリティと関係なく理論はできないのである。ビオンは幼少期はインドで育ち、思春期に
イギリスに渡り、生涯インドに帰ることはなかった。さらに、軍医として戦争に参加し、そ
こで死ぬまで苦しむことになる外傷体験をこうむった。このようなビオンの生き方や生活史
がもう少し多めに載せられているとビオンの理論の理解に役立っていたのではないかと思う。
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