1950年代、黒澤明や木下恵介よりも国内的評価は上だった(と思われる)今井正監督の代表作の一つ。ちなみに今井監督は、1957年、この「米」と「純愛物語」でキネマ旬報ベスト10で1・2位を独占している。
茨城・霞ヶ浦近辺の農村とそこで生きる人々の姿をリアルに描いた名作。画面の重厚さ、密度の高い演出はさすがだと思う。今の時代からは想像もつかない程当時の日本は貧しかったことがわかる。
ただし、今の感覚(時代背景)とはあまりに違いすぎて、わかりにくい(というよりもピンとこない)面も。頭ではなんとなくわかっていても、感覚的によくわからないとでもいうのだろうか。映画の中盤過ぎくらいまでは、感覚的に入り込めなかった。きっと公開当時の観客にはよくわかったと思うのだが、2010年代の今からはわかりにくい。一緒に鑑賞していた両親(1950年代をリアルで知っている)でさえも、時代背景にシックリこないで、途中からようやく当時の世相を思い出したようだった…映画の中の茨城弁もリアル過ぎて、九州人の我が家では聴き取りずらかった…
今井監督はリアリズムに徹して凄いと思うのだが、それ故に時代が変わると理解しにくい監督なのかも知れない。それにリアル過ぎて物語に救いがなかった。
だが、俳優の雰囲気等、当時の日本の農村はきっとこんな風だったのだろう…と思わせるような説得性があり、世相を知る上ではとても貴重な映画だと思う。